「福島は危険だ」「福島の人は怯え苦しんでいる」──震災から5年、未だ情緒的な文脈で語られる「フクシマ」。しかし、誰にでも入手可能なデータと数字を分析するだけで、そこには、容貌を異にした実態が見えてくる。福島出身、31歳の社会学者、開沼博が記す「福島の虚と実」。 *** はじめに3つの問いから。 (1)福島に暮らしていた人のうち、どれくらいの割合の人が震災によって、現在県外で暮らしているか? (2)直近(2015年11月)の福島の有効求人倍率は、都道府県別で全国第何位か? (3)3・11後の福島では「中絶や流産が増えた」「離婚率が上がった」「合計特殊出生率が下がった」のうち、どれが正しい? 答えは、 (1)約2・2% (2)4位 (3)出生率のみ正しい いかがでしょうか? 抱いていた「福島」のイメージと実際の姿との間には、かなりのギャップがあったのではないでしょ