――自分が本当は何がしたいのかわからない。 フランスの啓蒙思想家ルソーは、代表作『エミール』の中で次のように述べています。 食事と睡眠の時間をあまり正確にきめておくと、一定の時間ののちにそれが必要になる。やがては欲求がもはや必要から生じないで、習慣から生じることになる。というより、自然の欲求のほかに習慣による新しい欲求が生じてくる。そんなことにならないようにしなければいけない。 子供につけさせてもいいただ一つの習慣は、どんな習慣にもなじまないということだ。(今野一雄訳、岩波文庫より) 1日を一生と捉えて毎日の死を迎える 「心」(=「身体」)が「眠るまい」とするもう1つの理由として、今日1日の幕を引く気になれないということが考えられます。 前連載の第21回でも触れましたが、メメント・モリ(memento mori「死を想え」「死を忘れるな」という意味)という古いラテン語の格言があります。これ