少年漫画的、どころか、広く社会的に肯定されているテーゼに「仲間は大事」というのがある。これは文句のつけようのないものだが、文句のつけようがないだけに、何の意味もない。「平和は大事」「命を大切に」「子どもを守ろう」などと同様に、理念としては高潔で筋が通っているのだが、ならばそれを現実に行うにはどうすればいいのか、という水準の話が何も含まれていないので、実際的には何も役に立たない言葉なのだ。言葉が現実に即せば即すほど異論が噴出するものだし、それを経て初めて実効的なものとなる。本来的に理念は空疎だ。そこに現実が伴って、初めて意味のあるものとなる。 で、話は「HUNTER×HUNTER」。この作品の中では繰り返し、「仲間は大事」という理念が現実の問題に対してどう擦り合わせられるのか、ということが描かれています。 HUNTER X HUNTER27 (ジャンプコミックス) 作者: 冨樫義博出版社/メ