為替相場に連動したリスクの高い「仕組み債」などで基金を運用し、約12億3千万円の含み損を抱える兵庫県朝来市は28日、販売元のSMBC日興証券(東京)など4社に額面総額の支払いを求め、私的整理の手法であるADR(裁判外紛争解決手続き)を30日に大阪市の第三者機関に申請すると発表した。総務省は仕組み債をめぐる自治体のADRは「把握していない」としている。 市は昨年末から一部の販売元と任意の売却交渉などを進めてきたが解決できず、裁判より時間も費用もかからないADRの活用を決めた。「リスクを認識できる十分な説明がなかった」と販売元の説明義務違反などを主張しており、ADRによる和解斡(あっ)旋(せん)が不調に終わった場合、再度の直接交渉か訴訟を検討する。 市は平成18~20年にかけ、財政調整基金などを運用するため米ドルや豪ドルと連動した債券を購入。償還分を除き約61億5千万円の契約が残るが、円高の進