東京電力の柏崎刈羽原発(新潟県)に、原子力規制委員会が2021年4月に運転禁止を命じてからまる2年たった。山中伸介委員長は3月8日の記者会見で「(5月に予定していた)是正措置命令の解除はかなりむずかしい」と述べ、解除が夏以降になる見通しを示した。 この調子では再稼動は越年し、今年の夏ばかりか冬にも間に合わない可能性が出てきた。いま東電が申請している規制料金の値上げは柏崎の再稼動を織り込んでいるので、これが遅れると、さらなる値上げは避けられない。 2年たっても解除されない「是正措置命令」 柏崎原発は2017年、原子力規制委員会の審査に合格したが、2020年9月に作業員がIDカードをなくして他人のIDで中央制御室に入ったことが発覚し、委員会は21年に是正措置命令(運転禁止令)を出した。これをきっかけに所内の「テロ対策」点検が始まり、是正措置命令を解除する基準として27項目の点検項目を指定した。