未知を愛するノンフィクション作家・高野秀行が見つけた新たな未知は、「リアル北斗の拳」と呼ばれるソマリアのなかにある謎の独立国家「ソマリランド」だった。 そこは崩壊国家の一角で独自に内戦を終結し、複数政党制による民主化へ移行した平和な国だという。本当なのだろうか? 情報はほとんどなく、確かめるには自分の目で見てみるしかない。高野秀行の渾身の辺境旅が始まった。 ソマリランドがいかに内戦を終結させ、和平を実現したかという話はこれまでにもワイヤッブから折に触れては聞いていた。 「木陰で話し合い」という簡単なものでは無論ない。何度も繰り返し、話し合いの場が持たれているし、せっかく合意した和平は2回も潰れている。3回目でなんとか最終的な和平にこぎつけたのだ。 旧ソマリア時代、首都モガディショの独裁政権は北部の民衆を弾圧。北部のマジョリティであるイサック氏族が反政府ゲリラを組織して立ち上がりソマリア政府