日本の民家 (1937年) Amazon 久しぶりに読んだ。考現学の今和次郎が、日本の民家をあちこち調べてまわって記録した本。学生の頃に一度読んだ記憶があるが、ほとんど忘れていたけれど、こんど、「今和次郎「日本の民家」再訪」を読んだときに記憶を復活させるために読み直した。 すごくいい。分析は日本の漁村や農村にある各種の民家の構造や道具が持つ合理性を中心に記述されていて、失われゆく日本の民家などについてのノスタルジーはあるものの、最小限。気候、産物、経済、その他各種の条件が民家の構造には関係していて、当然ながら各地で取れる産物をそのまま使わなくてはならない。それが独特の形を生む。その記述をスケッチがうまく補って、見ていて飽きない。 マルセル・モースとか、イザベラ・バードとか異人さんの日本旅行記にはこれに近い印象のものがかなりある。日本人の地方記述期は、都会人の変な幻想が垂れ流されてることがや