国家公務員労組なんて相手にする気はなかったが、城繁幸氏が指摘しているので補足しておこう。彼らのいう「老人の貧困率」の話は、資産格差を意図的に無視する使い古されたデマである。問題は、なぜ左翼がこういう既得権擁護に回るかだ。 それは笠信太郎が「腐りかけた自由主義を切って捨てよ」と主張したのと同じだ。彼は元は大原社会問題研究所の研究員だった。こうした温情主義が、左翼とファシストの共通点だ。笠が戦後は「安保反対」に転じたように、社会主義と国家社会主義は紙一重なのだ。 温情主義はpaternalismの訳だが、これは家父長主義とも訳す。英辞郎では「個人の要求に応えているように見えるが、権威を崩さずに逆に個人の自由や責任を無視するような行動」と説明している。つまりこれは父の子に対する温情であり、一つの家族の中の上下関係を前提にしているのだ。 笠の温情主義は、日本が「アジアの家長」として中国や韓国を近代
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