今週の週刊東洋経済の「絶望の非正規」という特集を読んで、日本のジャーナリストの質の低さに絶望した。ここに書かれているのはほとんど既知の話だが、その「処方箋」と称して金明中なる「エコノミスト」が提案するのは「賃金の引き上げと社会保険への加入」だ。 正社員と同じ賃金が出せるなら、最初から非正規として雇用していない。社会保険の適用は賃下げになるという基本的な経済学の論理さえ、この自称エコノミストは理解していない。 この特集の基本的なスタンスは「日本型雇用を守って正社員を増やす」という厚労省と同じだ。日本型雇用は戦後できたものだが、その起源は意外に古い。日本の「家」は同族集団ではなく、10世紀ごろできた在地領主を中核とする労働集団だが、それがゆるやかに連合して「大きな家」になったのが徳川幕府だ。ここでは終身雇用が厳格に守られ、軍団としての「一家」を守ることが至上の倫理となった。 商家でも武家と同じ