昨年話題になった「バカの壁」を読んでみた。「バカの壁」というのは、意識的か無意識的かに関わらず、考えるのをやめている境界線のことを指す。ある程度以上については思考停止してしまう、その限界のことであった。この本の議論から一歩考えを進めれば次のような結論が導ける。「バカの壁」というとマイナスのイメージで捉えがちだが、使い方によっては大きなプラスにもなる。バカの壁を意識的に思考の限界より手前に置き、詳細をバッサリと切り捨てることにより、人は「抽象的思考」が可能になったのである。 部分的に引用することは、この本に対しては適さないように思える。前後でまったく逆のことを言っていることがあるからである。しかし、ここではあえて引用しながらみていくことにする。 第一章『「バカの壁」とは何か』に、「バカの壁」についての記述がある。 自分が知りたくないことについては自主的に情報を遮断してしまっている。ここに壁が