子供たちには、幸福になる技術をよく教えなければいけない。不幸が降りかかってきたときに幸福でいる技術のことではない。そちらはストア派におまかせしよう。私が言うのは、まあなんとかやっていける状況で、人生の辛さもせいぜいちょっとした退屈や不愉快というときに、幸福になる技術のことである。 そのための最大の決まりは、自分の不幸を絶対に人に言わないことである。現在の不幸も、過去の不幸も、だ。頭痛、吐き気、胸焼け、腹痛のことを人に説明するのは、いくら言葉遣いに注意したところで、失礼なふるまいと見なされて当然である。不当な仕打ちをされたとか、落胆させられた、といったことも同じだ。 子供にも若者にも、そして大人にも、愚痴をこぼすのは他人を不快にするだけだ、とよくよく言い聞かせなければならない。このことは、誰もがすっかり忘れているように見える。たとえ打ち明け話を喜んで聞き、慰めたり励ましたりするのが好きな人が