日銀が金融緩和の一環として、多くの株式を組み込んだ上場投資信託(ETF)の買い入れ策を導入してから10年がたった。 株価は景気や企業業績を反映して決まるのが原則だ。中央銀行が相場に介入するのは本来「禁じ手」とされる。このため、欧米の中銀は採用していない。 日銀は「デフレ脱却に必要」と強調する。だが、物価上昇にどうつながるのか国民が納得できるような説明はないままだ。 その一方で、弊害は大きくなっている。 市場では「株価が下がれば日銀が買い支えてくれる」との甘い認識が広がり、投資家のリスク感覚が損なわれている。 ETF購入を通じて日銀が大株主となった企業では、株価が実力以上にかさ上げされている。通常の機関投資家と異なり、株主総会で注文を付けられることもない。 専門家は「企業経営の緊張感が失われ、統治改革の流れに逆行している」と問題視している。 ETF購入が始まった2010年当時は、リーマン・シ