毎月勤労統計(毎勤)の一部が長年にわたって不適正だったことなどについて、議論が繰り広げられている。東京都にある500人以上規模の事業所が全数調査されていなかったことは、結果の精度に問題がないとしても調査計画通りでなかったというルール違反である。抽出調査でも母集団へ適切に復元されていればよかったが、それが行われていなかったのが致命的で、雇用保険給付等の支払い不足という実害を招いてしまった。 他方、毎勤を仕事で利用している立場からは、数年周期の経済センサスではなく年次の母集団データベースを使って、500人未満事業所の標本を毎年部分的に入れ替える方式(ローテーションサンプリング)になったことを歓迎している。従来は数年ごとの標本総入れ替え時に大きな段差が生じ、入職・離職や開業・倒産等の状況を正確に把握できていないのではないかという印象を毎勤に抱いていた。統計上で労働者が減ったように見えるとしても、
消費税率が2014年4月1日に、現行の5%から8%へと引き上げられることが正式に決定した。消費税率が引き上げられると、物価上昇によって家計の購買力(実質所得)が目減りするため、家計消費を減少させる。増税による経済への影響を考える上では、増税によってどの程度物価が上昇するかというのが重要な論点となる。 一般的には、消費税率が1%引き上げられれば、消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は0.7%程度押し上げられると言われている。これは、消費者物価を構成する品目の一部、たとえば、家賃や医療費、学費などが消費税の課税対象外であり、課税対象となる品目は、ウエイトベースでコアCPIの7割程度となっているからである。仮に、課税品目の全てで消費税率の引き上げ分を100%小売価格に転嫁すると仮定すれば、今度の3%の消費税率の引き上げによって、2%程度消費者物価が押し上げられる計算となる。 しかし、
◆1-3月期GDPでは実質輸出が4四半期ぶりの増加に転じた。輸出が持ち直した背景としては、昨年11月に衆議院の解散が事実上決まってからの、急速な円安が挙げられることが多い。しかし、このところ為替市場では、昨年末からの一本調子の円安が反転し、円高・ドル安方向に戻されていることから、円安による景気の押し上げ効果は既に一巡したと見る向きも少なくない。そこで、本稿では昨年末からの円安の効果がどの程度顕在化しているか、また今後どのような効果が期待されるかを考察する。 ◆輸出金額の推移を見ると、2012年初頭から減少傾向が続いていたが、2012年10月を底に明確な持ち直し傾向となっている。これを価格と数量に分けてみると、円安進行と同時に輸出価格が大幅に上昇したことが、輸出金額を押し上げてきたことが確認できる。一方、円安による収益の改善を原資に輸出価格を引き下げ、価格競争力を高めるという行動は、少なくと
交易条件の悪化は企業収益の減少をもたらすという通念がある。交易条件とは、製造業の投入物価と産出物価との比率であり、前者の上昇ペースが後者のそれを上回った時、従って例えば、原材料価格が上昇する中で製品価格への転嫁が進まない時、交易条件は悪化する。それが企業の収益を減少させるというのは、なるほどいかにも分かりやすい理屈であり、仮に「他の条件が一定であれば」これが正しいことは自明である(理屈というより算数の問題)。ところが、「経済のメカニズム」として考えれば、この通念は正しくない。 現実のデータを振り返ってみよう。まず、交易条件には稼働率と反対方向に動くという経験則がある。また、設備投資は稼働率の変動に半年ほど遅れて動く。これも経験則である。更に、企業の収益やキャッシュフローも設備投資をうまく説明する。やはりラグは半年程度であり、従って、稼働率と企業収益・キャッシュフローの動きは、同時、同方向で
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