今回紹介する『男のパスタ道』は、「スパゲッティ・アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ」、通称「ペペロンチーノ」について書かれた、ちょっと風変わりな本である。 ペペロンチーノは、にんにくと赤唐辛子をオリーブオイルで熱し、茹でたパスタを絡めただけの、ごくシンプルな料理。 パスタの基本中の基本と言っていいだろう。普通、パスタのレシピ本といえば、オイル系、トマトソース系、クリームソース系、ミートソース系、冷製……などと、さまざまなバリエーションを紹介するものがほとんどだと思う。しかし本書の著書・土屋敦は、それとは真逆のベクトルに突っ走る。そうして完成したのが「たったひとつの料理に14万字を費やした世界一長いレシピ本」――つまり本書は、まるまる1冊、ペペロンチーノについて「だけ」書かれた、じつに偏執狂的なレシピ本なのである。 ぺペロンチーノは、チーズやアンチョビといった、パスタ料理によく使われる旨
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