中間層の衰退の背景には、「仕事の二極化」の進行があるといわれます。グローバル経済や情報通信技術(ICT)の発展で、中間層の労働者が担ってきた定型タスクの仕事が喪失したという指摘です。今回も、前回紹介した経済協力開発機構(OECD)の中間層の報告書に基づきながら、仕事の変化の影響を考えてみます。OECD全体では、勤労世帯の7割程度が中間層に属していますが、1980年代半ば以降、勤労世帯であっても
1966年6月に静岡県清水市(現静岡市)のみそ製造会社専務宅で起きた一家4人殺害事件「袴田事件」。袴田巌さん(86)は死刑が確定している。それでも無実を訴え続けた結果、2014年になって静岡地方裁判所が「犯人と認定できない」と判断。死刑執行を停止し、裁判のやり直し(再審)を開始する決定を受けた。逮捕から48年たってやっと釈放もされた。しかし、まだ裁判は終わらない。再審開始決定は、東京高等裁判所で覆された。弁護団の不服申し立てを受けた最高裁判所は2020年、東京高裁に審理を差し戻している。注目される東京高裁の判断は3月13日に示される。 この事件を巡る経過を、弁護団や支援者、事件関係者、そして袴田さんを献身的に半世紀以上、支えてきた姉のひで子さん(90)を通してたどると、多くの謎が浮かぶ。真犯人を袴田さんとした捜査や裁判のずさんさには、首をかしげたくなる点ばかりだ。「証拠」とされたものを挙げ
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