【11月7日 AFP】(一部訂正)イモリなどの両生類の切断された足を再生する際に主要な役割を果たすタンパク質の分子シグナルを発見したとする研究結果が、米科学誌「サイエンス(Science)」に発表された。 イモリなどの両生類がど切断された足を再生させる生物学的プロセスは、生物学者らにとって長年の関心事だったが、完全に解明されていなかった。 ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College London、UCL)の研究チームが再生プロセスを研究した結果、神経細胞や皮膚細胞が作り出す「nAG」と呼ばれるタンパク質がこのプロセスに重要な役割を果たすことが分かった。 切断された部分の近くの神経細胞と上皮細胞が、nAGを分泌することで、新たな器官や足を生み出す未分化細胞である芽細胞を刺激し、その形成が促進されるという。nAGは、神経が切断されていても分泌される。 今回の発
哺乳(ほにゅう)類が天敵のにおいを怖がるのは危険な目に遭って学習した結果ではなく、生まれながらに嗅覚(きゅうかく)に備わった神経回路の働きによるものであることを東京大の坂野仁教授や小早川高・特任助教らの研究チームがマウスの実験で発見、8日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。 この回路を壊したマウスは、ネコやキツネのにおいを識別しても怖がらず、逃げ出さなかった。 また、こうしたにおいによる危険の判断は、大脳の高次機能を担う領域ではなく、鼻の奥の細胞からにおいの情報を最初に受け取る「嗅球」と呼ばれる低次の部分で行われていることも判明。外界の情報を処理する脳神経回路の構造解明に役立つ成果だという。 チームは独自に開発した遺伝子操作の手法で、嗅球の一部の機能を失わせたマウスをつくった。腐った食べ物や天敵のキツネのにおいをかがせると、正常なマウスはにおいから逃げたり、すくんだりしたが、遺伝子操作
音楽を聴くと不安が和らぐ効果には女性ホルモンの作用が関係しており、これが性別による効果の差を生んでいる可能性があることを、徳島大の近久幸子助教(環境生理学)らの研究チームがマウスを用いた実験で15日までに突き止めた。 不安が音楽によって取り除かれるとの報告は多いが、男性より女性で効果が強く現れる傾向があり、理由は不明だった。 チームは、高所で不安定な実験装置にマウスを入れて行動を分析。メスにクラシック音楽を聴かせると、装置から落ちそうな場所を避けるなど不安を示す行動が減った。 オスではこの効果がなく、女性ホルモンの一種プロゲステロンを働かなくしたメスでも効果が消失。チームはこの物質が音楽による不安緩和に重要な役割を果たしており、性別で効果の差が出る一因と結論した。 [中日新聞、共同通信 / 2007年11月15日] http://www.chunichi.co.jp/s/article/2
騒音や人込みの中でも恋人や子どもの声が聞き取れるのは、左脳の聴覚野が大切な音を区別しているためとの研究結果を、自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)の柿木隆介教授と岡本秀彦研究員らのグループがドイツとカナダの大学と共同でまとめ、15日、英国の電子版の生物学・脳科学雑誌「ビーエムシーバイオロジー(BMC Biology)」に発表した。 柿木教授によると、左脳が雑音から音を聞き分けていることを明らかにしたのは初めてという。 柿木教授らは、雑音の中から会話のような音を聞き取る実験を約10人に実施。脳の神経細胞が音を聞いて活発化した際、神経細胞の電気活動に伴って出る微弱な磁場を測定して脳の働きを調べた。 その結果、右脳の聴覚野は雑音に邪魔され、音を聞き取る神経細胞の働きが低下したが、左脳の聴覚野は活動があまり衰えず、必要な音を聞き逃さない傾向が確認できたという。 [共同通信 47NEWS /
マウスも研究者も頑張っています。 医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き 再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬 脊髄(せきずい)の一部が傷つき一時的に指を上手に動かせなくなった際、リハビリによる回復過程で、本来は使われないはずの脳の領域の活動が高まっている様子を、生理学研究所(愛知県岡崎市)の伊佐正教授らがサルを使った実験で初めて画像にとらえた。16日付の米科学誌サイエンスで発表する。より効果的なリハビリ法の開発につながる可能性がありそうだ。 サルの脊髄の一部を傷つけ、一時的に人さし指と親指で食べ物をつまむことができなくする。リハビリをさせると、傷を受けなかった神経が働くようになり、3カ月程度で回復する。その過程の脳の働きを、血流量から活動領域を明らかにする装置で調べた。 右手でつまむように訓練を受けたサルで右手が使えなくなると、回復初期の1カ月には、右手の動きをつかさどる左の脳の領域
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