今月6日、韓国政府は元徴用工訴訟問題に関する解決策を発表した。16日には日韓首脳会談が開催された。冷却化していた日韓関係は、これからどこへ向かうべきなのか。近現代の両国関係を振り返りながら考える。 前近代の日本は、中華帝国秩序から離脱して西欧国家体系に編入するのが、韓国(李氏朝鮮)よりも早かった。このわずかな差がその後の両国の運命をわける。日清・日露の両戦争に勝利した日本は、1910年に韓国を併合する。韓国併合は欧米帝国主義国の植民地統治とは異なっていた。白色人種が有色人種を統治するのではなく、黄色人種が同じ黄色人種を統治することになったからである。韓国併合は「植民者は優れていて被植民者は劣っている」とする社会ダーウィン主義で正当化ができなかった。代わりに正当化の論理として用いられたのが、「日鮮同祖論」だった。 第一次世界大戦後の脱植民地化は非西欧世界にも波及する。日本は中国の自主・独立を