天皇陛下の退位を巡る政府の有識者会議が議論を再開した。衆参両院の正副議長の下、与野党が立法形式で基本合意したことを踏まえ、退位後の呼称などの検討を始めた。 天皇が退位した最後の例は200年前にさかのぼる。ただし、象徴天皇としては初めてとなる。退位や皇位継承をどう円滑に実現するか。丁寧な議論が必要だ。 第一の課題は、退位した天皇の呼称や活動内容である。退位した天皇は歴史的に「太上(だいじょう)天皇」(上皇(じょうこう))と呼ばれた。有識者会議の専門家ヒアリングでも「上皇」を支持する意見があった。これとは別に「前(さきの)天皇」とする意見もある。 退位した前天皇と即位した新天皇がいるなかで、象徴や権威の「二重性」が起きない配慮が求められる。 古くは上皇が権力を維持したまま「院政」を敷き、天皇と争うことが少なからずあったが、象徴天皇制が定着した現代では本質的な問題ではない。いずれにせよ国民に理解