災害大国である日本の法体系に不備はないのか。あるとしたらどう手当てすべきか。東日本大震災の経験を踏まえた点検は不断に必要だ。 その際の論点の一つに、緊急事態条項がある。緊急時の政府対応や国会議員任期の特例などを憲法に書き込んでおくべきか否か、である。 憲法改正に執着する安倍晋三首相は、この条項の創設を改憲の突破口にしたいと考えているようだ。 今年に入って「いよいよどの条項について改正すべきか新たな段階に入った」「緊急時の国家の役割を憲法に位置づけることは極めて大切な課題だ」などと述べている。2日には「私の在任中に成し遂げたい」と改憲の時期にまで踏み込んだ。 首相は中身については何も語っていない。しかし、自民党が2012年にまとめた憲法改正草案の緊急事態条項を読む限り、とても容認できるようなものではない。 まず、首相は「外部からの武力攻撃、社会秩序の混乱、大規模な自然災害」などに際して緊急事