人類は新たな「歴史的危機」に直面しているのだろうか。核大国の独裁者が隣国を侵略し、国際秩序を揺るがす中、新年を迎えた。 ファシズムの嵐が欧州に吹き荒れた20世紀前半。スペインの哲学者オルテガは既存の体系が崩れ、「まやかしのイデオロギー」が現れる歴史的危機を警告した。だが、世界は第二次大戦に突き進む。 1世紀後の欧州を震撼(しんかん)させたのは「大ロシアの再建」を目指すプーチン露大統領である。「中華民族の偉大な復興」を掲げる習近平体制の中国は、米国との対立を背景に台湾への圧力を強め、東アジア情勢も緊迫する。 「ロシアは兄弟国と聞いていたが、敵だと分かった」。ウクライナ侵攻後の昨年3月に来日し、沖縄県うるま市の保育園で働くナディーヤさん(33)が語る。 戦争の終わりは見えない。祖国に残る友人らの身を案じつつ、「沖縄の子どもには戦争を体験してほしくない」との思いを強める。 進行する「内なる専制」