トイレ、台所など生活に密着した住宅設備を提供し続けてきた東陶機器(以下、TOTO)。そんな同社が、社運をかけて取り組んでいるプロジェクトが、事業ドメインの見直しに基づいた販売革新である。その最大のねらいは、「エンドユーザー(生活者)に少しでも近づくこと」にある。それによって、同社は従来までの「新築住宅向け」事業中心型から「リモデル」事業中心型へと事業モデルを転換しようとしているのである。同社は、はたして“顧客”をどのようにとらえ、また実際にどのように顧客にアプローチしようとしているのか。本稿では、TOTOが取り組む販売革新について、その背景と全貌を明らかにする。 小林秀雄 text by Hideo Kobayashi ビジネス・モデル転換の必要性 TOTOの販売革新のリーダーを務めるマーケティング統括本部長の張本邦雄氏。同氏は、“生活者起点”の販売体制を根づかせるために、あらゆる仕掛けを