ええ、僕の叔母の話です。 ご存知の通り、僕の叔母は身内が言うのもなんだが、とても50代にはみえない若さだ。 60代の僕のママンと歩いていると「あら、娘さん?」と言われる。 最近衝撃だったのは、僕とデパートを一緒に歩いていてマッサージチェアの体験ブースを通りかかった際、「旦那さまもいかがですか?」と言われたことだ。 もちろん、本人はくそ嬉しそうに微笑む。 そんな叔母は、田舎を出たことがない。 生まれ、就学、就職、すべてそのまま田舎に暮らしている。 さぞ大変だったであろう痴呆が早かった祖母の介護を、叔母は働きながら貫いた。 「施設には入れたくない。忘れられてもあたしの母ちゃんだもの」 生粋の田舎っ娘である叔母は、つい数か月前、意を決して大阪に一人旅することに成功し、本人はとても得意気である。 梅田駅で迷子になり、勇気を出して尋ねた通行人が中国人だったというボケをかまし、さらに中国人は日本語がカ