ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の見事な調査からは、暗号通貨市場で価格操作がいかにまん延しているかが垣間見られる。 WSJは過去6カ月間のトレーダー同士の取引データやオンラインでのやり取りを綿密に調査した。結果、121種類の暗号トークンに対する風説の流布(価格の変動目的で偽情報を流す陰謀)が175件あったことが判明した。これらの陰謀により、過去6カ月間に8億2500万ドル相当の取引が発生し、「間違った情報につられてしまった人々は、数億ドルもの損害」を被った。 使われたのは、いささか古典的な手口だ。特定の暗号通貨に関して虚偽の宣伝をし、新規投資家を誘い出し、大量に買わせる。そして暗号通貨価格が「急騰」したら、インサイダーがその通貨を「投げ売り」して利益を得る。1930年代に法律で禁止されたこの悪習は、映画『ウォール街の狼』のモデルとして知られるジョーダン・ベルフォートがニューヨーク