ブックマーク / the-cosmological-fort.hatenablog.com (30)

  • 『基地はなぜ沖縄に集中しているのか』 ――経緯と現状 - うちゅうてきなとりで

    ――手触り感の少ない抑止力や地政学的に重要な位置という説明に満足せず、当は、なぜ沖縄なのか、という問いに、正面から向き合おうというのが、今回の私たちの取材の出発点であった。 ◆所見 沖縄に基地が集中している不公平な実態について書かれている。 問題の根源は日米の力関係、つまり「アメリカのせい」だけではない。日政府にも、沖縄問題を長期化させてきた原因がある。 ・在日米軍と住民との関係改善策 ・司法権 ・根底にある沖縄人蔑視 沖縄県は最も長く米軍・米政府と共存してきたため、その考えは単純・一枚岩ではない。 *** 1章 基地集中の原点 1 在沖縄米軍の7割は海兵隊だが、沖縄の海兵隊(3MEF)は、唯一米土以外に駐留している部隊である。 朝鮮戦争前後、海兵隊は土の日軍基地に駐留していた(茅ヶ崎海岸は海兵隊射撃場)。しかし治安悪化や土地接収で反対運動が高まり、1957年に沖縄に移転した。

    『基地はなぜ沖縄に集中しているのか』 ――経緯と現状 - うちゅうてきなとりで
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    pikoameds 2020/06/23
    興味深い記事です。経緯現状さらに展望を描いてください。また幾つかの様々な視点・論点があることがわかります。
  • 『江戸の刑罰』石井良助 その1 ――残酷すぎる江戸の牢屋 - うちゅうてきなとりで

    江戸時代の訴追の流れ、刑罰、牢獄の様子、人足寄場などを説明する。 実際の事件や記録を紹介しながら江戸の刑法制度を理解することができ、非常に面白い。 戦国時代の影響が強く残る江戸前期には、刑罰は一般予防主義(見せしめ、威嚇主義、見懲主義)色彩が強かった。江戸後期になると、徐々に特別予防主義(懲戒主義)へと変化していく。 ◆所見 特に興味深いのは牢の生活である。不謹慎だが、牢屋のしきたりの、あまりの過酷さに笑ってしまった。 未決監とはいえ、悪党の集まる雑居房はこれほど理不尽な世界になるということだろうか。 もっとも重い刑である鋸挽が、主殺の罪にあてられていることが、儒教思想の影響を反映している。主殺だけでなく、目上の者に対する罪は、一等重く処分されていたようだ。 ◆犯罪と刑罰メモ ・鋸挽:主殺 ・獄門:追剥、主人のと密通、毒薬売、関所よけ、贋秤(にせはかり)の製造 ・死罪:他人のと密通、十

    『江戸の刑罰』石井良助 その1 ――残酷すぎる江戸の牢屋 - うちゅうてきなとりで
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    pikoameds 2019/08/26
    江戸支配構造の基本の一つが江戸期の刑罰(司法制度)。罪刑法定主義はある。(近代的意味ではないが。)。また穢多非人の問題も重要。弾左衛門。no 2もあり。
  • 『ふしぎな部落問題』角岡伸彦 - うちゅうてきなとりで

    『はじめての部落問題』の著者による続編。 部落問題の矛盾点や、メディアによる偏見や誤情報の拡散、近年の新しい事象(ネットでの情報氾濫など)にも触れている。 同時に部落解放運動の新しい形も紹介しており、現状を知る助けとなる。 *** 近年の部落問題は、部落解放運動が抱える矛盾から生まれている。 部落解放運動は、部落民が部落民であることを前提にした運動だった。例えば障害者差別反対運動であっても、障害者を健常者にすることが目的ではなく、障害者であることを前提にかれらに対する差別を撤廃することが目的である。 ――部落解放運動は、部落民としての解放を志向しながら、「どこ」と「だれ」を暴く差別に対して抗議運動を続けてきた。……部落民としての解放を目指しながら、部落民からの解放の道を歩まざるを得なかった。 *** 1 歴史 部落民の特殊性は、身体的・民族的差異がなく、差別の歴史によってのみ存在する点にあ

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    pikoameds 2018/10/03
    とても面白い紹介。本自体も面白そうだ。被差別部落民が部落解放を宣言主張することの意味を問い直す必要がある。黒人や障がい者の解放とは違う点が分かる。資本主義的解放論も問題になる。丑松思想を否定その後は?
  • 『エネルギー問題入門』リチャード・ムラー その1 - うちゅうてきなとりで

    エネルギーに関する正確な知識を得ることにより、正しいエネルギー政策を導くことが重要である。 エネルギーは軍事経済の両面において国家の安全保障の中核に位置する。 また、エネルギーに関する定説や報道は、しばしば実態とかけはなれていることが多いため、適切な意思決定を下すためには、何よりも正確な情報を得なければならない。 日の原子力災害についても言及されている。 *** 1 エネルギー災害 福島原発のメルトダウンによる放射能被害は、計測の難しい微小なレベルに留まるだろう。コロラド州デンバーは元々放射線量の多い土地だが、住民は合衆国の平均よりも健康である。 原発政策で必要なのは過剰な避難方針を修正し、より危険な災害である地震や津波の対策を強化することである。 事故報道において、事実と誇張を見分けるのは困難である。 メキシコ湾原油流出事故も、当初報道された大惨事には至らなかった。 地球温暖化について

    『エネルギー問題入門』リチャード・ムラー その1 - うちゅうてきなとりで
  • 『続・突破者』宮崎学 - うちゅうてきなとりで

    『突破者』を出版した後の著者の活動について自ら回想する。 宮崎学は、現代日をとりまく抽象的な正義を否定する。それは清潔な市民による正義であり、社会から不潔なものを全て抹消しようとする世界観である。 平沼騏一郎が司法官僚の時代、かれは被差別部落を管理するために事業資金を管理し、部落をコントロールしようとした。 ――言論活動が、「正義」と「真実」なんていう空疎なかたちの支持をかき集めるキャンペーンになっていけば、政治活動も単なるキャンペーンになってしまい、具体的な目標は二の次にされてしまう。 著者の経歴……暴力団組長の子供として生まれ、早稲田に入学後、学生運動に加わって中退、その後実家の解体業を受け継ぎ、グリコ森永事件では「キツネ目の男」として重要参考人となった。 著者は徹底的に反体制の立場をとる。 自らを、「やましいところのない清潔な正義の人間」と考える体制の人間、特に官僚にを厳しく批判

    『続・突破者』宮崎学 - うちゅうてきなとりで
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    pikoameds 2017/06/19
    今回共謀罪で問題とされたのは、「組織犯罪処罰法」で、宮崎氏らが前から指摘していた危険なもの。当初暴力団による薬物・銃器犯罪対策名目だった。だが「市民」にちゃんとくる。「普通の人」は無関係だと言われた!
  • 『千日の旅』石上玄一郎 - うちゅうてきなとりで

    石上玄一郎(いしがみ げんいちろう)(1910-2009)は札幌出身、東北で育った小説家である。 この人物を知ったのは、田中清玄が自伝のなかで、かれが尊敬すべき中学の同級生である、と言及していたからである。 作品のほとんどは、仏教的な世界観の影響を受けているが、総じて平坦である。わたしには合わなかった。 「針」 餌差という職業は、武家の所有する鷹のために、小鳥を生け捕りにし餌として提供する。餌差は針を口で吹き小鳥を仕留める。 餌差の祖先をもつ娘が、死んだ小鳥と針の因果に悩まされて放浪する話。 娘は山里にやってくる座頭から浄瑠璃を教わるが、娘の父、座頭たちは皆、針にまつわる不幸に見舞われる。娘も家出し、浄瑠璃を語りながら諸国をさまよう。 浄瑠璃の発掘のために実家に戻ってくると、かつて不倫女だった母親はしわしわの骸骨婆になっており、村もますますさびれていた。 いわく、「この世の一切は神と申し

    『千日の旅』石上玄一郎 - うちゅうてきなとりで
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    pikoameds 2017/05/18
    平坦か。でも興味惹かれる。平坦さぶりも含め要一読か?
  • 『近現代日本を史料で読む』御厨貴 - うちゅうてきなとりで

    各時代ごとの政治家、官僚、軍人等の日記を紹介する。 1つ1つの章は短く、各歴史的人物とその日記のガイドのようなものである。 日記は歴史事件から間をおかずに書かれるため、改変の度合いが少なく、当時の状況を細部まで知ることができる。 一方で、記録者の主観が強く入っているため、利用するには史料批判が欠かせない。 史料の発見や公開によって、日史研究が大きく進むことがわかる。よって、歴史研究は常に変化することを念頭に置かなければならない。 私たちの過去への認識は常に限られた情報で推論するしかない。 『大正天皇実録』は大半が黒塗りで公開され、また多くの部分が非公開である。昭和天皇は日記を書いていたというが、皇后の死とともに陵墓に埋葬された。 *** 大久保利通:謹厳実直、冷淡 木戸孝允:感情豊か 佐々木高行 植木枝盛:自由民権運動や立憲運動に関わる一方、「廃娼論」を書いたにも関わらず数年間で200

    『近現代日本を史料で読む』御厨貴 - うちゅうてきなとりで
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    pikoameds 2017/05/18
    日記抄。とても有用です。紹介感謝します。社会活動家・政治家の日記は歴史認識に不可欠。私はあまり好きでないが、御厨氏のオーラルヒストリーも意味あり。
  • 『ペリリュー・沖縄戦記』ユージン・スレッジ その2 - うちゅうてきなとりで

    もっとも精神を痛めつける武器は砲弾で、特に無防備な状態で砲撃にさらされることは、ベテラン兵士であっても耐えがたいものだったという。 海兵隊は仲間の絆を重視し、実際、信頼関係があったからこそ力を発揮できたと著者は回想する。 ――珊瑚礁岩の染みを見ていると、政治家や新聞記者が好んで使う表現がいくつか頭に浮かんだ。「祖国のために血を流し」たり「命の血を犠牲としてささげる」のはなんと「雄々しい」ことだろう、等々。そうした言葉が空疎に思えた。血が流れて喜ぶのはハエだけだ。 ――私のなかの何かがペリリューで死んだ。失われたのは、人間は根っこのところでみな善人だ、という説を信念として受け入れるような、子供っぽい無邪気さかもしれない。しかし、自分は戦争の野蛮さに耐えなくても済むくせに失敗を繰り返し、他者を戦場に送り続ける政治家という存在を、信じる気持ちを失ったのかもしれなかった。 *** アイヴィーリーグ

    『ペリリュー・沖縄戦記』ユージン・スレッジ その2 - うちゅうてきなとりで
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    pikoameds 2017/05/01
    直前の記事に続いてこの記事も引用させていただきました。以下です。有難うございます。http://pikoameds.hatenablog.com/entry/2017/05/01/055925
  • 『ペリリュー・沖縄戦記』ユージン・スレッジ その1 - うちゅうてきなとりで

    海兵隊に志願し、パラオ諸島ペリリュー島の戦い、沖縄戦に参加した兵隊の回想録。太平洋戦争の様子が細かく書かれており、兵隊たちの悲惨な状況を知ることができる。 構成は次のとおり。 ・志願とブートキャンプ ・ペリリュー島の戦い ・沖縄戦 著者は戦争に乗り遅れないように、士官候補課程(ROTCの原型)を途中でやめ、一兵卒として入隊した。 *** 最初に派遣されたのがパラオ諸島のペリリュー島で、海兵隊第1師団は島の日軍守備隊を掃討する任務を与えられた。島での戦闘は、海兵隊がアムトラックで上陸し、日兵の迎撃をかいくぐり制圧した後、陸軍と交代するというものである。日兵は万歳突撃をやめ、持久戦法をとるようになっており、米軍の被害は大きくなった。 以下、著者が経験した戦争の風景について…… ・ベテラン兵は皆うつろで生気のない眼をしていた。 ・海兵隊を含む米軍に共通していたのは、みなぎる日人(ジャップ

    『ペリリュー・沖縄戦記』ユージン・スレッジ その1 - うちゅうてきなとりで
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    pikoameds 2017/04/27
    私の昔の記事ですがそこに本紹介を引用させて頂きます。http://pikoameds.hatenablog.com/entry/2015/11/25/063552
  • 『幕末の天皇』藤田覚 その1 - うちゅうてきなとりで

    書の趣旨:光格天皇は天皇の権威復興に力を注いだ。続く孝明天皇は幕府の方針に反対し、鎖国攘夷を強硬に主張した。その後主張を翻すが、過激派を制御できず、結果的に民族主義を高揚させ、討幕運動を巻き起こした。 明治天皇は新たに王政復古の下で政治を取り仕切った。 幕末から明治維新にかけて、天皇及び朝廷が政治体制に与えた影響を検討する。 天皇が、ただ神輿のようにかつがれたわけではなく、自ら積極的に政治活動の主体となっていたことがわかる。 1 江戸時代の天皇 江戸時代を通して、幕府は統治の正統性を確立するために天皇の権威を利用した。位階官職の任命は天皇の名で行われ、家康が東照大権現になったのも天皇の許可による。 日が神国、神州であるという世界観は、秀吉がキリスト教に対抗した時代に起因する。特に江戸時代後期には、日国は「皇国」と呼びならわされた。 「公儀」すなわち国家公権の根拠として天皇が機能した一

    『幕末の天皇』藤田覚 その1 - うちゅうてきなとりで
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    pikoameds 2017/04/25
    天皇について基本的知識として重要だ。勿論、明治以降講座派・労農派の見解とともに日本を如何するかという方向性を考える上で必須。ご紹介有難うございます。
  • 次世代型竹槍 - うちゅうてきなとりで

    無職戦闘員は夢のなかでむかしの思い出を――これも夢または妄想だが――を手入力した。 ◆予科練平和記念館と棒振り運動 茨城県阿見町の予科練平和記念館はすばらしい施設である。 予科練における銃剣術の写真に関して、「当時の銃剣術は、現在の銃剣道よりもより実戦的な訓練が行われていた」というようなキャプションがあった。 ――銃剣道で「直突」しかやっていないため、捕虜との競技会では良く負けた。突撃を渋り、白兵戦を恐れる傾向が強い。 (『日軍と日兵』一ノ瀬俊也) 日軍時代よりも、さらに実戦から遠ざかった棒振り運動を、現在進行形で、税金を消費して無批判にやらせている組織とは何なのか。 特に意味はないが「おれたちはやった。苦しい練習を乗り越えてやりとげた」という充実感と自己満足を得ることはできる。しかし、ただ公務員が気持ちよくなるために、税金を払っているわけではない。 棒振り伝統維持をごり押しするOB

    次世代型竹槍 - うちゅうてきなとりで
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    pikoameds 2017/04/23
    張子のトラが🐅は猫の様に吠える。「人びとは、自分たちが養っている軍隊の能力を知らなくても、好戦的になれる。」
  • 2017年のNO JOB COMBATANT(2017.4) - うちゅうてきなとりで

    新しい年度が始まりましたが、無職戦闘員は、引き続き、永遠にやって来ない戦闘にそなえて、訓練を実施しています。 ◆旅行 2016年はジョージア共和国、今年の1月にはボスニア・ヘルツェゴビナ、スロヴェニア、クロアチアに行ってきました。 次に行ってみたい国がいくつかあります。 ・バルカン半島の続き……セルビア、コソヴォ、アルバニア ボスニアのヴィシェグラード(『The Bridge on the Drina』を読んでいるので) ・インド最北部……ラダック、ザンスカール 『The Great Game』を読んで、イギリス軍が進出した僻地に興味を持った。 ・ポーランド……ワルシャワ、クラクフ、グダニスク アウシュヴィッツとその他の絶滅収容所、古い都市の見学 ・スリランカ……『ディーパンの闘い』を観て 国内で行こうとおもっているのは、広島の大久野島です。ここには野ウサギのほかに、日陸軍の毒ガス工場施

    2017年のNO JOB COMBATANT(2017.4) - うちゅうてきなとりで
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    pikoameds 2017/04/18
    無職・戦闘員さんの旅行先、予定。今後の記録を期待したい。無職・戦闘員で無色ではない本の記録が読める。私はよくお世話になっています。
  • 『ヒンドゥー教』森本達雄 その2 - うちゅうてきなとりで

    *** インドの浄・不浄観には、日をはじめとする他の文化と共通する点もある。 ヒンドゥー教は死、血、屍を特に忌み嫌う。女性に対する蔑視は、生理、月経、出産等の血を伴う現象にも由来するという。 インドにおいて清浄とされるのは水、火、クシャ草、牛等である。水に対する価値観の例としてガンジス河と沐浴の慣習をあげている。牛の信仰は牛だけでなく牛糞や牛の尿にも及ぶ。 牛の信仰を司るクリシュナは、ヴィシュヌの化身とされる。しかし、クリシュナは元々バラモン教と対立する存在である。この神は牛飼いの身分で生まれ、シュードラ、原住民に支持されていた。やがてヒンドゥー教の大衆化に併せて吸収され、庶民に親しまれる存在となった。 なお、神聖視される牛はコブウシのことを言い、街中をうろついている水牛は不浄な動物、死神ヤマの乗り物として逆に忌み嫌われるという。 牛の殺害はバラモン殺害に等しいが、水牛は外国人やムスリム

    『ヒンドゥー教』森本達雄 その2 - うちゅうてきなとりで
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    pikoameds 2017/04/04
    参考になります。
  • 『ヒンドゥー教』森本達雄 その1 - うちゅうてきなとりで

    ヒンドゥー教について説明するであり、素人にもわかりやすかった。 ヒンドゥー教は一神教や仏教から見ても異質な面がある。しかし、ヒンドゥーの神々、儀礼、思想等は、日にも受け継がれている。 七福神の半数はヒンドゥーの神々由来であり、輪廻(サンサーラ)や業(カルマ)の概念もヒンドゥーが発祥である。 *** ヒンドゥー教は、インド人口の8割を信徒とする宗教であり、かれらの生活の中枢となるものである。ヒンドゥー教は人びとの考え方、生活、組織、社会を強く規定するものである。 信仰様式は多岐にわたり、また神々も多様である。ここでは、おぞましい女神カーリーを祀るカーリガート寺院における生贄の儀式、ホーリー祭り等が取り上げられている。 ――ヒンドゥー教は、キリスト教やイスラーム教のように宗教を貫く教義・信条が信仰を導くのではなく、……なによりも信仰がすべてに優先します。言いかえると、信仰が教義や信条をいか

    『ヒンドゥー教』森本達雄 その1 - うちゅうてきなとりで
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    pikoameds 2017/04/04
    参考になります。
  • 『茶道の歴史』桑田忠親 - うちゅうてきなとりで

    茶道が時代とともに変化してきた歴史を解説する。 著者は、村田珠光や武野紹鴎、千利休が打ち立てた茶の精神に価値を置く。すなわち、万人を救済する仏の精神に基づき、身分の分け隔てなく茶の道を説くこと、客をもてなす精神をもっとも重要であると考えることである。 江戸時代には、武家の茶道は「身分相応」を重んじ、封建的秩序を重んじるものとなった。町人の茶道は家元制度により形式化、保守化していった。 明治維新以降は、茶道の普及が進められる一方で形骸化が進み、一部のエスタブリッシュメントたちの道具自慢も露骨になった。 弟子を増やすノルマに追われる関係者たち、マンネリのお茶会等は、茶道が直面している問題を浮き彫りにする。 茶道の前では万人が平等であるという精神、客をもてなすという利休以前の精神に再び立ち戻るべきである、と著者は主張する。 *** 茶道は中国からやってきたが、日において創始したのは武士出身の能

    『茶道の歴史』桑田忠親 - うちゅうてきなとりで
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    pikoameds 2017/03/21
    とても面白かった。社会の在りようによってお茶の思想、イデオロギーが異なる。
  • 『英米法総論』田中英夫 その1 - うちゅうてきなとりで

    英米法の解説をもとに、イギリス、アメリカのものの考え方を検討する。 1 概観 英米法はイギリス法の伝統に多く影響を受けた法をさし、イギリス、アメリカの各州、コモンウェルス、インド等の法が該当する。 英米法が大陸法と異なる発展を遂げた原因は、ローマ法の影響をほとんど受けず、ゲルマン法に由来する特徴を保持してきたことにある。 英米法の8つの特徴 1 歴史的継続性 現行法の最古のものは1225年のマグナ・カルタである。判例も18世紀のものがいまだに用いられている。 2 歴史的淵源の多様性(コモン・ローとエクイティ) 主なものにコモン・ローとエクイティがあり、ほかにlaw merchant商慣習法、canon law教会法などがある。エクイティはコモン・ローを補うような機能をもつ。 3 判例法主義 英米法は判例をもとに事件を解釈する。 4 各論的考察の重視 体系化をしておらず、総則や総論がない。法

    『英米法総論』田中英夫 その1 - うちゅうてきなとりで
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    pikoameds 2017/03/04
    田中英夫、英米法。
  • 『Japan's Total Empire』Louise Young - うちゅうてきなとりで

    副題:満洲と戦時帝国主義の文化 満洲を軸として、日帝国主義を社会と制度から分析する。制度は個人を帝国主義に参加させるための媒体であり、また社会は国家政策に影響を与えるものである。 1 総動員帝国をつくる 日の満洲政策は軍事的征服、経済開発、植民の3項目からなる。 帝国主義と近代化の関係を論じることも書の中核の1つである。書にいうTotal Empireとは全体主義ではなく総動員体制のTotalを意味する。日帝国主義が軍と官と民、都市と農村、土と植民地等が相互に影響を与え、全体として進められたものである点を強調する。 日の開化から、朝鮮、台湾、南洋諸島の併合、山東半島と満洲の権益の保持、満鉄と関東軍、警察による統治まで。1931年、張作霖の息子張学良が関東軍の傀儡であることを拒否し国民党に服従したことにより満洲権益が脅かされた。これが満州事変の謀略につながった。 移民政策にはソ

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    pikoameds 2017/02/09
    満洲。有意義な紹介に出逢う。
  • 勉強と買い物 ――満州国、先住民、「レヴェナント」その他 - うちゅうてきなとりで

    ◆勉強 無職戦闘員として、最近、英語の勉強を再開することになった。 1 聴く、話す ・Youtubeでニュース動画を観る。また、映画英語字幕で観る。慣れたら字幕なしにする。 ・以下のがおすすめだと聞いたのでやることにした。 CD付 即戦力がつくビジネス英会話 改訂増補版: 基から応用まで 作者: 日向清人 出版社/メーカー: ディーエイチシー 発売日: 2014/02/25 メディア: 単行 この商品を含むブログ (2件) を見る TOEFL TEST対策iBTスピーキング 作者: 川端淳司 出版社/メーカー: テイエス企画 発売日: 2006/08/10 メディア: 単行 購入: 21人 クリック: 312回 この商品を含むブログ (15件) を見る ・数年前に海外旅行で片言をしゃべって以来、ほとんど話す機会がないので、外国の無職仲間に会話の相手をしてもらう。 ・自宅で、独り言

    勉強と買い物 ――満州国、先住民、「レヴェナント」その他 - うちゅうてきなとりで
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    pikoameds 2017/02/09
    戦闘員さんの本!英語など。面白い。参照。
  • ユーゴスラヴィアから - うちゅうてきなとりで

    旧ユーゴスラヴィア3ヶ国に行ったのをきっかけに、改めてボスニア・ヘルツェゴビナ紛争や国連について調べることにした。 以下のを買ったので、順次読んでいきたい。 ◆ボスニア紛争 ・ユーゴスラヴィア崩壊の歴史 Yugoslavia: Death of a Nation 作者: Laura Silber,Allan Little 出版社/メーカー: Penguin Books 発売日: 1997/02/01 メディア: ペーパーバック 購入: 1人 クリック: 1回 この商品を含むブログを見る ・一族郎党を殺され、亡命した少年が故郷を再訪する The Bosnia List: A Memoir of War, Exile, and Return 作者: Kenan Trebincevic,Susan Shapiro 出版社/メーカー: Penguin Books 発売日: 2014/02/25

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    pikoameds 2017/02/09
    ユーゴスラビア。参考になる。愛情がこもっている。
  • 『思考する言語』スティーブン・ピンカー その1 - うちゅうてきなとりで

    書は、言語における意味について考える。 人間が自分の思考や感覚をどのように言葉にするかを検討し、人間の性質について探ろうというものである。 特に、具体的な言語の使用例や、日常生活に即して言語における意味について考えようとする方法に特徴がある。 *** 1 意味論は、言葉と現実の関係、言葉と社会との関係、言葉と感情との関係を考察の対象とする。章はこの3つの関係をおおまかに紹介する。 <思考の言語>はわたしたちが概念をストックしそれを用いる枠組みを指す。わたしたちは思考の言語に基づいて現実を解釈する。 言葉、特に名前は、他の言葉によって定義されるものではなく、存在するものを指し示す、名前をつける、くっつけることで世界に結び付けられる。 言葉は社会のなかで理解され、伝達されるものである。言葉の用法や意味は社会の中で生起、変化するが、それは予測不可能に近い。 言葉と感情の関係について……なぜ特

    『思考する言語』スティーブン・ピンカー その1 - うちゅうてきなとりで
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    pikoameds 2016/10/15
    とても的確で素直な読みだと思われる。紹介者には言語に関する素養、関心があるのだろう。