石尾さんは、当時94歳の祖母と、両親、5歳下の弟の5人暮らし。祖母と母親を家の外に出した後、父親や弟と隣近所の家にも声をかけて、潰れた家から出られなくなっているお年寄りを助け出した。 停電して真っ暗な集落の様子を見て回っているとき、排水溝に左足を突っ込んでしまう。歩くたびにかかとに激痛が走ったが我慢するしかない。そのまま家族と自宅近くで、普通車2台に分かれて車中泊を1週間続けた。 「足は痛いし、寝られないし。もうみんなちょっとしたことでイライラしちゃって、罵声の飛ばし合いで、きつかったですね。汚い話ですけど、小はするけど、大きい方は1週間我慢したんです。友だちが野グソしているときマムシに噛まれたと聞いたことがあったので」 避難所になった地元の小中学校に行けば仮設トイレがあった。だが、石尾さんには行けない理由があったのだ。 「もう、メンタルはヤバかったけど、あんなとこ、死んでも行きたくなかっ
