韓国には、朝鮮戦争後に朴槿恵大統領の父・朴正煕が米兵向けに全国に設置した歓楽街「基地村」が今も残る。ここで米兵相手に売春する女性たちはかつて「米軍慰安婦」と呼ばれ、人権を踏みにじられてきた。在日韓国人ジャーナリストのコナー・カン氏がレポートする。 * * * 米軍慰安婦の存在について韓国政府は、これまで肯定も否定もせず曖昧な態度をとり続けてきた。だが近年、元慰安婦の女性や市民団体、また一部国会議員の告発により、徐々にその全容が明らかになりつつある。 2014年6月には、元米軍慰安婦122人が韓国政府を相手取り、謝罪と損害賠償を求める集団訴訟を起こした。その過程で、慰安所の凄惨な実態が詳らかにされたのである。 16歳のころ知人に騙されヨンジュコルの米軍慰安婦となった原告の一人、金ジョンジャさんによれば、慰安婦は毎日3~4人の米兵の相手をさせられたが、賃金の大半は店の経営者に搾取され、警察に駆
「愛国者」を自任する20代の青年を飲み屋で取材した。 彼は大声でまくし立てた。 「在日(コリアン)は恥知らずだ。犯罪者ばかりだ。この日本から福祉も秩序も奪い取る。ただの侵略者じゃないか。一人残らず追い出すべきだ」 彼にとって在日コリアンは「敵」以外の何者でもなかった。荒唐無稽な妄想と、考え得る限りのあらゆる否定的価値観が、頭の中に詰め込まれている。 だから彼は「闘っている」のだという。ネットで在日コリアンを貶める情報をかき集めては、それをコピーして貼り付ける。そんな作業を繰り返し、ときに「在日排斥」を訴えるデモにも参加する。彼のいびつな「愛国心」は、見事なまでに「排外主義」へと回収されていた。 いま、自分が立っている場所は、あるべき日本ではないと考えていた。彼にとって世の中のあらゆる理不尽は「敵」がもたらしたものだった。「在日が日本を支配している」といった無責任なネットの言説でさえ、自らを
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