突然、個人的な趣向をカミングアウトして大変恐縮であるが、僕は、蕎麦が好きである。毎日、蕎麦を食べたいくらいの好物である。出来ることなら、1日24時間蕎麦の傍にいたいものだ。だが、そんなささやかな庶民の夢でさえ、叶わないのが僕の現状である。さまざまな要因が僕と蕎麦とを、まるでロミオとジュリエットのように引き裂いている。 まず、近所にお蕎麦屋さんがない。ここでいうお蕎麦屋さんとは、「オッチャン個人が切り盛りしているような、手打ちで、美味しいお蕎麦を食べさせるお店」を指している。もちろん、駅前にある立ち食い蕎麦屋や、古民家をリノベーションしたオシャレカフェ的要素を持つ蕎麦屋を否定するわけではないが、僕が欲しているのは昭和の時代から街中にあるようなザ・蕎麦屋というわけである。建設中の店舗を見かけるたびに、僕が抱く「あら?蕎麦屋さんが出来るのかしら?」と淡い期待は、こだわりの豚骨スープ!ライス無料!