サッカー専門誌の編集者時代から現在に至るまで、使ってきた取材ノートの数は73冊以上に上る。それらに残されたメモを頼りに、日本サッカー界の様々な時代をひも解いていく。第60回は昨シーズン、コンサドーレ札幌を4度目のJ1昇格へ導いた石崎信弘。歴代監督の中で最も多くの試合を指揮し、就任したチームでは《財産》を言えるものを残し続けてきたJリーグきっての名将が歩んできた紆余曲折を、彼の言葉とともに振り返る。 J1昇格を巡る忘れがたいドラマ 石崎信弘 1958年3月14日生まれ。広島県出身。現役時代は東芝(現札幌)でプレー。91年からは主将兼コーチも務めた。94年に引退後、95年から山形で4年間監督を務め、その後は大分、川崎Fで監督を歴任。06年に柏で初のJ1昇格を味わい、09年には古巣・札幌の監督に就任。その男気と熱血指導で選手・サポーターの信頼を集め、就任3年目でJ1へ導いた。 最初の記憶は「石崎