尾花監督が就任して2年目のシーズンは47勝86敗11分けで、チームとしては4年連続の最下位で幕を閉じた。今季は新たに「機動力野球」を打ち出した。だがそんなプレーはほとんど見られず、結局、チーム防御率はセ・リーグ最下位、打率は5位。弱さの原因は一つには絞れないが、なぜ、せめて目指した野球ができなかったのか。首脳陣が思い描く理想と、プレーする選手たちとのギャップ。それぞれの“目線”からシーズンを振り返った。 10月8日の阪神戦、1点を追う最終回の攻撃。阪神の守護神・藤川に対し、1死から渡辺が左前打で出塁し、すかさず二盗。さらに荒波が右前打で続いて自身も二盗を決め、2死二、三塁に。そして細山田が中前打を放ち、荒波が俊足を飛ばしてヘッドスライディングでホームに生還。サヨナラ勝ちを収めた。シーズン終盤になって、ようやく見せた「機動力」。だがこのプレー。発端は渡辺が自ら申し出た盗塁の決断だった。