二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの暑さ対策として政府が検討している「夏時間(サマータイム)」について、ITに詳しい学識者が二日、東京都内で検討集会を開いた。夏だけ時間を早めるためには、多くの時間と費用をかけて社会全体のITシステムを改修しなければならず、二年後の実施は難しいとの意見が相次いだ。 (吉田通夫) 立命館大の上原哲太郎教授は基調講演で「システム改修には四年は必要」として、二〇年の実施は「不可能だ」と指摘した。企業や自治体のコンピューターシステムの時刻設定は、自動だったり手動のタイプが残っていたりと複雑だからだ。時刻を設定するタイプの家電にも対応しなければならず、全体の改修費用は三千億円と試算。コンピューターウイルス対策ソフトの自動更新といった決まった時間に作動するプログラムに、不具合が生じる可能性などの弊害にも触れた。