静岡県は、酒造りの大切な条件である「豊かな水源」に恵まれたことから、古くより多くの蔵元がそれぞれ個性ある酒造りを競い合ってきました。 昭和30年代には蔵元の数は75社を数えており、時代の変遷により多くの蔵が廃業した今も、約30社が静岡ならではの酒造りを続けています。 そんな静岡が「吟醸王国」と呼ばれるようになったのは、じつはここ30年ほどのこと。静岡の酒造りを活性化させるために、吟醸酒や純米酒など「特定名称酒」に特化したのです。 そうして生まれた静岡の酒は、香りは華やかでありながら、味わいは至ってマイルド。酒質そのものはすっきりとした淡麗タイプで、のどごしが滑らかなものがほとんどです。 最大の特徴ともいえる香りを支えているのが、県の工業技術センターが1985年に開発した「静岡酵母」。この酵母が開発された翌年の品評会では、静岡から10点の金賞酒を生み出しました。 以来、地酒ファンの酒のあいだ