東日本大震災の被災地域で、金融機関が抱える企業向け融資や住宅ローンなどの残高が、約2兆8千億円にのぼることが金融庁のまとめでわかった。焦げ付きによる損失がふくらむ恐れがあるため、金融庁は、銀行などに公的資金を使った資本増強を促す方針だ。 銀行、信用金庫、信用組合の営業店の2010年9月末残高をまとめた。対象地域は、岩手、宮城、福島の3県のうち、(1)海に面している(2)東京電力福島第一原子力発電所事故で計画的避難地域に指定されている――のいずれかの条件にあてはまる39市区町村。 大企業と中堅企業向けの融資が1800億円、中小企業向けが1兆4300億円、住宅ローンは9400億円。その他、自治体向けなどが2300億円ある。 こうした融資を受けている中には、事業再開のめどが立たない企業や、家屋が津波に流され、避難生活を続けている個人も多い。事業復旧のために新たに借金をし、「二重ローン」に陥