集落解散 消えるつながり 「孤族の国」3・11から―1【全文】2011年7月24日22時20分 管理人として住み込むリゾートマンションの最上階から太平洋を眺める佐藤俊一郎さん、芳子さん夫妻=静岡県熱海市、仙波理撮影 孤族の国と震災 6月半ばの昼下がり、神奈川県のJR小田原駅ホームで一人、電車を待っていた佐藤芳子さん(53)の携帯電話が鳴った。 ふるさとの宮城県石巻市にいる友達からだ。 心が弾んだ。 それなのに、涙で声が出ない。津波で壊滅した故郷を出て2カ月余り、寂しさが抑えきれない。「せっかくかけてくれたのに、ごめんね」と電話を切った。 その日から、「また泣くだけかも」と思い、電話に出られなくなった。 夫の俊一郎さん(53)と2人、石巻の漁師町・雄勝町から静岡県熱海市へ移った。家も仕事も失う中、東京で暮らす長男の勤め先がリゾートマンション管理人の住み込みの仕事を紹介してくれた。「自分たちは