学び なぜ「面白い物語」は面白いか?『物語論 基礎と応用』: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
学び なぜ「面白い物語」は面白いか?『物語論 基礎と応用』: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
なぜ「面白い物語」は面白いか? トートロジーみたいだが、小説を読んでて、そんな疑問を抱いたことはないだろうか。ひたすら浸っているときは気付かないが、読了後、どうしてあんなに夢中になっていたのか不思議に思ったことはないだろうか。 わたしはある。一般に面白い小説に共通する特徴を洗い出したり、特定の人が面白がる「面白がりかた」を考えることで、おぼろげながら、「面白い物語の法則」のようなものを見出していた。あるいは、脚本術やストーリーメイキング、『マンガの創り方』といったネーム作りのハウツー本から、創作のための実践的なノウハウをもらっていた。 だが、たいていはヒューリスティックで「売れた作品を分析するとこうなっている」という経験則が最初にあり、その理屈は後からとって付けたように書かれている。そうではなく、「人はなぜ物語を好むのか?」というそもそも論から始めたい。もちろんアリストテレス『詩学』のよう
トマス・アクィナス――理性と神秘 (岩波新書) 作者: 山本芳久 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2017/12/21 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る 大変勉強になりまくる本であった。13世紀を代表する西洋知識人であろうトマス・アクィナスに関する新書。彼が主題となる新書は本邦初であるらしい。とにかく「トマスのテクストは魅力的なんですよ」、「トマスはすごく面白いんですよ」と伝えたい著者の気持ちが文章から伝わってきて、その勢いにつられて、グイグイと感動的に読めてしまう。常軌を逸した多作家であるトマスを愉しんで読む方法を逐一提示してくれている。 執筆スタンスも良い。トマスが扱うテーマは現代人にとって馴染みがないものがほとんどであるし、聞いたことがない概念も頻出する。そもそも、トマスの著述スタイルそのものが研究者以外にはよくわからないものであろう。それを変に易しく
今日は、にしのあきひろ(キングコング西野)著『えんとつ町のプペル』の感想です。 と言っても、私はこの絵本を読みはしたものの購入していません。購入していない本の書評を書くのは大変気が引けますが、現在、この絵本は西野さんご自身によって無料公開されていますので恐らくお許し頂けるのではないかと思います。 spotlight-media.jp キングコング西野さんに関する話題はネットで少し目にしたことはありますが、個人的には特に関心がなく、またこの『えんとつ町のプペル』にも関心はありませんでした。ただ、昨日はてなブックマークでホッテントリ入りしていたので覗きに行ったら、つい最後まで読んでしまったので、西野さんに対する知識がほとんどないうちに、軽く感想を書くことにした次第です。 尚、これ以降は、あらすじ等ネタバレだらけですのでご注意ください。 あらすじ 感想 ストーリー 変化や成長のないストーリー 信
にしのあきひろ著、『えんとつ町のプペル』を読んだ感想を書く。 先に書いておくが、私は紙の本を購入していない。 Spotlightのサイトにて無料で読んだ。 作品を批評、特に批判的な批評する際、本来であればお金を払うべきだと思う。 でも、本人の意向で無料公開したのだから、私も好きなように書きたいことを書く。 作品の批評は自由であるべきだからだ。 この絵本は"絵"が駄目である ー その1 最初にただしておきたいが、六七質さんの背景画が駄目だと言いたいのではない。 むしろ、ものすごい技量をお持ちのイラストレーターさんだと思う。 ピクシブや他のサイトでも、六七質さんの作品を拝見した。 緻密な建物の描き込みはもちろんのこと、空間の奥行き感じさせるぼやかした遠くの景色、 夢の世界へいざなってくれるようなファンタジックさがありながらも、懐かしい記憶を刺激するようなノスタルジックさを併せ持つ独自の世界観、
先日、キングコングのツッコミでネタ書き担当の西野亮廣氏が、“にしのあきひろ”名義で昨年10月に発売した絵本『えんとつ町のプペル』をネット上で無料公開した。この件に関しては、今でも色々と物議を醸している。正直、私も【お金の奴隷解放宣言】という脳味噌極楽音頭感溢れる言い回しに随分と惑わされたのだが、とどのつまりは「お金が無くても内容を見ることが出来る。本を手元に欲しい人はお金を出して購入すればいい」と消費者に新たな選択肢を与えたという程度の話だと理解し、この件に関してはもはやどうでも良くなっている。 とはいえ、それを踏まえたとしても、「「お金が無い人には見せませーん」ってナンダ? 糞ダセー。」という、恐らくは氏の思考をダダ漏れエンターテインメント化しているだけのブログの一文に対して、市井のクリエイターたちが腹を立てる気持ちも分かる。彼らはこれまで「お金が無い人には見せませーん」というスタンスで
本書『Heirs to Forgotten Kingdoms』は、アラビア語とペルシア語を流暢に操り、イギリスおよび国連の外交官を務めた経験をもつ著者ジェラード・ラッセルが、中東の宗教的少数派のコミュニティを訪ねて旅し、現地の言葉で丁寧に話を聞きとって、現代に生きるその姿をまとめあげたものである。 1997年、駆け出しの外交官だった著者は、エジプトに配属されてアラビア語を学んでいた。著者はカトリック教徒で、祈る時にもアラビア語を使えば上達するのではないかと思い、エジプトのキリスト教会であるコプト教会に通い始めた。これが著者と宗教的少数派の初めての出会いだったという。聖テレーズ教会というその教会は、キリスト教徒だけでなく、地元のユダヤ人やムスリムからも愛されていた。そこには、イスラーム教と他の宗教との確かな共存の形があった。 中東といえばイスラーム教一色だと思いがちだが、実は中東は多様な宗教
百田尚樹と週刊新潮が『カエルの楽園』の書評を載せない新聞を批判! でも新潮社の雑誌でも書評はゼロだった(笑) 今年7月、「二度と書けない本」と豪語していたノンフィクション『殉愛』(幻冬舎)がプライバシー侵害や名誉毀損にあたるとして東京地裁に認定された百田尚樹氏。判決が出る前の3月に証言台に立った際も、取材を怠った事実を開き直り、逆ギレさえしてみせた百田氏だが、今度は別の著作をめぐって怒り心頭であるらしい。 それは、今年2月に発売された小説『カエルの楽園』(新潮社)の件。現在、同書は27万部を売り上げているというが、“書評が載らない!”と怒っているのである。 そんな百田氏の思いを代弁するかのように、『カエルの楽園』の版元である新潮社が発行する「週刊新潮」(新潮社)が、「大ベストセラーの書評を載せない「大新聞」のご都合」なる特集を掲載した。 この「週刊新潮」の記事は、〈紛うことなき大ベストセラ
存在脅威管理理論への誘い―人は死の運命にいかに立ち向かうのか (セレクション社会心理学) 作者: 脇本竜太郎出版社/メーカー: サイエンス社発売日: 2012/09/25メディア: 単行本この商品を含むブログを見るとてもタイムリーで面白い心理学の本に出会った。本書で紹介されているのは、存在脅威管理理論 (Terror Management Theory)といい、現在、日本や諸外国で起きている保守的な空気への説明可能性を持つ理論である。 911や東日本大震災などの災禍は、人々の生活における安心感を根底から覆した。こうした出来事は、我々の生きる文明化された世界が、実は非常に脆いものであり、我々も結局は死すべき定めの存在であることを思い知らせるものである。 911以降のアメリカや、震災以降の日本では、明らかに保守的な空気が蔓延した。アメリカでは、イスラム系の人々へのヘイトクライムが15倍以上にな
豊崎由美≒とよ婆 @toyozakishatyou ほんとだYO!百田氏が「どうせ書評も出ない」って愚痴ってたみたいだから書いたのにぃ。 RT @kirimperial1 週刊新潮で百田のカエルの楽園の書評が3大紙で書評が出ない!とクソみてぇなネタ記事出してるがTV Bros. で書評だした豊崎由美にコメントもらえよ。 2016-09-09 00:43:00 豊崎由美≒とよ婆 @toyozakishatyou てか、『カエルの楽園』みたいな小説(?)に書評が出ないことに怒ってるほうがおかしい。わたしみたいなバカ以外が、こんな低レベルかつ取り上げれば百田氏のファン(笑)から頭が痛くなるような面倒臭い反応がくるに決まってる本、誰が書評するかっていうの。みんな、忙しいの。 2016-09-09 00:46:21 豊崎由美≒とよ婆 @toyozakishatyou ひと月に出る国内外の小説の数った
英文法の良書と呼ばれるEnglish Grammar in Use(イングリッシュグラマーインユーズ)について詳しく説明する。 具体的には、English Grammar in Useの世界での評判や学習者の評価・レビュー、種類と学習レベル、学習メリット、そしてその使い方や勉強法までを詳しく解説する。 初版発行から30年超、全世界1500万部発行(シリーズ累計)の実績を持つ、この本のクオリティと信頼性は間違いないのだが、洋書ということもあり日本語で書かれたインターネット上の情報はひどく断片的で、ユーザーが正しい情報にアクセスすることが難しい。 そこでこの記事では、散々に散らばっている情報を一箇所にまとめてみたい。 目次 各項目に分けてEnglish Grammar in Useについて詳しく解説していくが、かなりのボリュームになってしまったので、以下の目次から興味のある項目を選んで読んでい
1 8 0 ト マ ス の 『 神 学 大 全 ( ス ン マ ) 』 日 本 語 版 が 半 世 紀 を 超 え る 歳 月 を 経 て 完 結 し た こ と に 対 す る 反 応 は 人 に よ っ て 様 々 で あ ろ う 。 出 版 人 と し て の 矜 持 と 地 味 な 学 術 図 書 出 版 社 の 社 運 を 賭 け て こ の 訳 業 を 支 え て 来 た 創 文 社 創 業 者 久 保 井 理 津 男 氏 は 、 翻 訳 終 了 を 知 り 「 私 の 出 版 人 の 魂 が こ う ふ ん し て 二 日 も 寝 れ な い 夜 が 続 き ま し た 」 と 便 り し て 来 ら れ た 。 反 対 に 、 延 べ 十 五 人 の 翻 訳 分 担 者 を 抱 え な が ら 完 成 ま で に こ れ 程 の 年 月 を 要 し た こ と を い ぶ
2015-07-06 超ワクワクするRPGを始めないか?『人生ドラクエ化マニュアル』を読んで鳥肌が立った。 読書感想文 考えたこと ちょいデキ! スポンサードリンク Tweet 小学生から中学生にかけて、オンラインゲームのメイプルストーリーにハマって課金しすぎて親にめちゃくちゃ怒られたことがありました。お母さんあの時止めてくれてありがとう。 そんな感じでぼくはゲーム大好きです。テレビゲームだけじゃなくてボードゲームも大学生になってからハマってめちゃくちゃお金使いました。 でもでも、ゲームは良い息抜きになるし人生に必要な要素だと思うけれど、その割合が多くなりすぎるとゲームは簡単に刺激を得られるように作られているので普通の生活に面白みを見出すことが難しくなります。 じゃあ人生自体をゲームにすればいいじゃん そればらどうすればいいかというと、人生をゲーム化して超面白くすればいい。こういう考えに
慈悲 (講談社学術文庫) 作者: 中村元出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/11/11メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (3件) を見る 中村元の『龍樹』はきつかった。しかし、はたして『龍樹』がきつかったのは中村元のせいだろうか? ナーガールジュナ自体がきつかったのではないか。というわけで、中村元のべつの本に手を出してみた。が、やはり東洋はもちろん西洋思想からもガンガン引っ張ってきて、膨大な出典付きであった(さすがは博士論文を四百字詰めで六千枚書いてリヤカーで運んだという人である)。が、おれは学生でもなければ、学者でもないのだから、出典なんぞ気にせずさらっと読めばいいじゃない。そうすれば、さらっと読めてしまうのである。さらっと読むことに意味があるのかわからぬが、おれという知的にも道徳的にも干からびた荒れ地に慈雨がさっと降ったくらいのことはあるかもしれない。
なぜこれを書いているか 『関数型プログラミングに目覚めた!』のレビュー(Day-1) という記事がMay 09, 2015、QiitaにUpされました。 この本については、邪な連中が多く、私もずいぶん不愉快かつ理不尽な思いをしてきましたので、この文責を伴わない「捨てアカウント」のレビュアが表明する前提の真実性を性善説をもってナイーブに信用することも当然難しいです。Qiitaにおいて、こういうことはこれまで何度も繰り返されてきました。特にこの記事に引用されている @camloeba というこの辺の輩のTweetをわざわざひっぱってきているあたり、ああまたやっているのか、と思わないこともありません。 実際、このレビューが着目する論旨は、私が、直近の記事、 『関数型プログラミングに目覚めた! IQ145の女子高校生の先輩から受けた特訓5日間 』の著者として、『数学ガール』の著者である結城 浩氏に
var plus = function(a, b) { return a + b; }; var s = [0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9] .reduce(plus); console.log(s); が対比されています。 [0,1,2,...,9]はダサいか? 本書に対する感想として幾つか見かけたものに、「関数型コードの[0,1,2,...,9]という配列リテラルベタ書きの方が命令型コードよりダサいではないか!」というものがありました(0〜999まで足せと言われたらどうするつもりなのか!)。しかし、まさに0〜999まで足すにはどうしたらいいのだろう、という問いを本書の登場人物自身が問い(p. 45)、配列リテラルではなくrange関数を使って配列[0..999]を生成するコード例が示されます(p. 109)3。ですので、何度も繰り返されるコード例[0,1,2,
つい最近になって、「関数型言語を教える」という名目のような本が販売されて、プログラマ界隈で話題となりました。この本は、一見プログラム入門書のように見えますが、著者の哲学的な思惟が含まれており、それらを知らない人間にとっては、判断が付きようがない品物であることは確かで、その中身の是非を知りたいという人々がそれなりにいることに気がつきました。 自分の場合、元々バックグラウンドが哲学や現代思想をかじって遊んでいた人間というのもあり、それらの議論について、ある程度理解しているつもりですので、その辺で気になった部分に関して、メモ書きをしておこう、と思ったのがこの記事の背景です。 ちなみに、如何なる仮説であれ、それらは平等に扱われるべきです。この著書が問題となるのは、それが如何なる文献を参照し、その判断が正しいのかどうなのか、ということが余りにも不明瞭であり、また議論としても、言い切りが多く、果たして
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