ソ連時代に生まれたならどんな子どももこれらの時代の味、とりわけお菓子について覚えているものだ。1990年代の終わりまでは、地域に少なくとも一つのベーカリーがあった。日に1回か2回、焼きたてのものが届き、それはいつもホカホカでいい匂いがしたものだ。それにはいつも、長い行列ができていたが、みんな我慢強く待っていた。 いったん店のドアを開けると、手ぶらで帰ることは出来なかった。アーモンドクッキー、柔らかなねじり菓子、素朴なシュガーバン、何か買わずにはいられなかった。中でも定番だったのがケシの実バンで、焼きたてでとても柔らかく、その中身にも驚いた。ケシの実がなかなか手に入らなかったときに、スプーン山盛りのケシの実が入っていると、まさに王様気分というものだ。このバンのカリカリした真ん中は死んでもいいほど美味しかった。 17世紀以降、ロシアでこのパンは貴族の家でも庶民の家でも焼かれていた。そしてもちろ
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