ブックマーク / www.newsweekjapan.jp (6)

  • 慰安婦問題で韓国が公的議論を受け入れるとき

    ソウルにある慰安婦像(平和の少女像)の前では、日韓合意の破棄を求める学生団体が座り込み(2020年) CHRIS JUNGーNURPHOTO/GETTY IMAGES <強制連行を否定する米論文に怒りの韓国世論、必要なのは異論を検証する冷静な公的対話だ> 大日帝国は韓国人女性に性的労働を強制した──そんな「定説」に疑問を呈した論文が韓国で猛批判を浴びている。ハーバード大学ロースクールのジョン・マーク・ラムザイヤー教授が、インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス誌で発表した「太平洋戦争における性契約」だ。 韓国を拠点とする学者である私たちは、この論文には非難ではなく論議が必要だと訴えたい。ラムザイヤーが個人的に日と親交が深いことを理由に、学問的誠実性に欠けると攻撃するのは非生産的で、外国人差別めいている。 従軍慰安婦は性奴隷ではないと結論付けたラムザイヤーに謝罪を要

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  • 日本の重要性を見失った韓国

    <レーダー照射、徴用工判決、天皇に謝罪要求と、相次ぐ事件にあり得ないような言い訳で日人の感情を逆撫でする韓国側は平常心を失っているようにさえ見える> 2019年が明けてからも日韓関係は紛糾した事態が続いている。昨年末に勃発した「レーダー照射問題」は、韓国海軍がこれを否定したのみならず、新たに日の哨戒機側の低空による「威嚇飛行」問題を提起した事により、新たな展開になっている。安全保障を巡る問題への影響を恐れる日側がこの問題に関わる韓国側への批判をトーンダウンして以降も、韓国側は日海のみならず、東シナ海においても、日側哨戒機の「威嚇飛行」が続けられているとして問題提起を続けている。 韓国側が新たに日韓関係に関わる問題を提起し、両国間の関係を悪化させているのは外交分野においても同様だ。2月初頭には韓国側の三権の長の一人である文喜相国会議長が、米誌ブルームバーグのインタビューに対して、「

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  • 「地球平面説」が笑いごとではない理由

    <科学否定論の拡大を嘆く筆者が「地球平面説」信者の会議で試した科学を守るための方法とは> 科学関連の信じられないようなニュースが、連日メディアをにぎわせている。例えば、「全米22州で700人以上がはしかに感染」というニュース。予防接種は恩恵よりも害のほうが大きいと考える親が、子供に予防接種を受けさせないケースが増えているためだ。あるいは、一向に可決されない温暖化対策法案のニュース。これは気候と天気の違いも分からない政治家が大勢いることが一因となっている。 極め付きは、「地球は平面だ」と主張する「フラットアース論者」が増えていることだろう。 このように科学を軽視あるいは否定する風潮に危機感を覚えた科学者らが、2年前、世界600都市で「科学のための行進」を実施した。私の地元ボストンのデモでは、「冷静に批判的に考えろ」「科学がなければツイッターもなかった」「深刻な問題だからオタクも来た」など、ユ

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  • 習近平が仕掛ける「清朝」歴史戦争

    清朝時代の新年を祝う行事を再現した北京・地壇公園でのイベント(18年2月16日) Thomas Peter-REUTERS <最後の中華帝国・清の位置付けをめぐり、共産党は外国人歴史家への攻撃を強めている> 政治文化、道徳、経済、外交......。中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は、実にさまざまな分野でイデオロギー戦争を指揮している。 なかでも最大の火種は歴史、特に最後の中華帝国・清(1636~1912年)の歴史だ。習のイデオロギーに合わせて過去を書き換えようとする動きに抵抗する歴史家は、繰り返しプロパガンダ機関による攻撃の標的にされてきた。 習には強力な武器がある。03年に共産党が立ち上げた清代の歴史編纂プロジェクト(清史工程)だ。この野心的な国家事業には、3つの使命が与えられた。 第1に、伝統の継承。中国の歴代王朝は、前王朝の「正史」を完成させることで政権の正統性を誇示してきた

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  • アジア駐在の欧米特派員はセクハラ男だらけ

    アジアに派遣された男性は国と違う顔を見せる。北京で3月に行われた第13回全国人民代表大会の外国人記者受付(2月) VCG/GETTY IMAGES <アジアで活躍する欧米ジャーナリストの性的モラルの低さを知ってほしい――しかも「苦しむ女性たち」の記事を現地から発信するのは彼らだ> 今でこそ筆者はメディア業界における女性と社会的弱者の権利擁護を訴える活動家だが、中国仕事を始めた7年前は全く違う立場にいた。中国系カナダ人の記者である私は、当時23歳。仕事を通じて知り合った何人かの男にとって、私は仲間ではなかった。獲物だった。 狙われる獲物から天敵と戦う活動家に変身するまでの道のりは平坦ではなかった。セクシュアル・ハラスメント(性的嫌がらせ)を受け、力ずくで襲われ続けた。タクシーに相乗りしたジャーナリストは、私のアパートに着くと一緒に降りてきた。てっきりそれぞれの家に帰ると思っていたのに、彼

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  • 経済予測が当たらないのには、確かな理由がある

    <ニューズウィーク日版10月24日発売号(2017年10月31日号)は「役に立たない?経済学」特集。経済学者の予測はなぜ当たらないのか。経済学の構造的欠陥を検証し、スティグリッツからイエレン、クルーグマンまでエコノミストらに"成績"を付け、今年のノーベル経済学賞を受賞したセイラーの行動経済学も扱ったこの特集から、数学者デイヴィッド・オレルの寄稿を一部抜粋して掲載する> 量子物理学者のニールス・ボーアは、「予測は難しい。とりわけ未来の予測は難しい」と言ったとされる。だが、未来の予測に一番苦労しているのは、経済学者かもしれない。 07年に始まった世界金融危機も、主だった経済学者は予測できなかった。それどころか、危機が始まっても察知できなかった。IMFのエコノミストが同年まとめた経済予測によると、08年に景気後退に入ると予測された国は調査対象77カ国のうちゼロ。実際には49カ国が不況に見舞われ

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