笑えない時代 先日、ある大学の教授と話す機会がありました。その教授いわく、 「いや、住職、私も大学に勤めて長いけれど、今年ほど学生が笑わない年はないね」 私、 「そうなんですか」 「そう。本当に笑わない。今までだと、講義前や、それこそ講義中でさえ、男の学生の馬鹿笑いや、女子学生のキャッキャッという、にぎやかな声が聞こえましたよ。今年はそれがない。それどころか、私がこれまで講義中で言えば必ず学生が笑った冗談にさえ、今年は反応しない。」 「学生には厳しい時代になりましたからねえ」 「まあ、そうですね。レポートを出させても、みな真面目すぎるほど真面目に書いてくるんですよ」 「必死なんでしょう」 「そうなんでしょうが、私はもう一つ、理由があるような気がするんです。それはね、今年の学生なんかは、世の中にあまりにひどい嘘が多いことを、身にしみて味わってきた連中なんじゃないでしょうか」 私は、なるほど、