私は肩甲骨。 背中にある骨で、羽のような形をしている。割と大切な骨だと思っている。 最近その私を剥がそうとする輩がいる。肩甲骨剥がしと称して、私を剥がそうとするのだ。 今も整体師だか何だかしらない男が、私を思いっきり剥がそうとする。 「これが効くんですよ~」 などと言いながら引っ張ってくる。私は必死で剥がされまいと頑張る。 そうだ。全国の肩甲骨はこうやっていつも剥がされまいと必死の努力をしているのだ。 ただ時々気を抜いた瞬間にもっていかれる時がある。 「あっ!」 やってしまった。少し気が緩んだ瞬間、私はその整体師にもっていかれてしまった。 私の母体である男性は痛い痛いと叫ぶ。右手がブランブランと揺れている。そりゃそうだ、肩甲骨を剥がしたんだから。 だが私の方は問題ない。私は骨なので、折れない限り痛みなどは感じない。 ただ問題は母体の男だ。このままでは危ない。 「お客さん、大丈夫ですか!?」