[第7回]数学には、たくさんの豊かな意味がある。それがわかれば、これほど楽しいものはない 長岡亮介さん 明治大学客員教授 今回の企画を部内で提案したのは昨年夏。「数学が世界をつくる」と題して、「数学者は世界をどのように描こうとしているのか。実世界とどのように『共鳴』しているのか。数学の美しさを探る」と企画書に書きながら、25年前の大学受験の時の記憶が頭に蘇っていました。当時、数学の楽しさを教えてくれた予備校の先生に、話を聞きにいってみました。(2009年12月7日、東京都内で。聞き手・山口進) ――「数学は真理を叙述する詩である。真理は一つしかないが、その歌い上げ方はいくつもある」といった数学の魅力、数学の美しさを常に口にされていたのを覚えています。駿台予備校ではいつからいつまで教えていたのですか。 長岡亮介 お恥ずかしいですね。駿台では大学院の博士課程の1年目、25歳から五月雨的に40歳