例えば食欲はどうだ? 腹が減ってる間は何もかも御馳走に見える。 そして実際食べ始めたときの幸福感はどうだ? どんどん食べ勧めると同時に満たされていく食欲に幸福は最高潮に達する。 しかし、 食い終わって満腹になったらどうだ? あの食欲を満たしていったときの興奮と高揚感に勝るか?いや、勝らない。 つまりは、欲望というものからもたらされる幸福というものは、解消していく途中が一番幸福感と高揚感を感じるのだ。 例え睡眠であっても眠りにつく布団の中の数分の方が起きた時よりも幸福感は強いはずだ。 おかしな話だが、行動原理である欲が完全に満たされてしまうと、 もはや永遠に幸福感を味わうことはなくなってしまい、 貪欲からの解消のギャップの過程こそが最高の幸福を産む。 そのため不幸や辛い経験をしたものほど貪欲な行動原理を持つ傾向にあるし、 苦行僧もそういったギャップのエクスタシーを味わうために己に苦痛を与えて