1992年に出版された本『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』(佐藤健志・著)は私にとって目からウロコの衝撃であった。私が『宇宙戦艦ヤマト』に夢中になった理由と、宮崎駿の世界にどうしてもなじめず、人気のジブリ作品をまったく見る気にならない理由が分かった気がしたからだ。この本によれば、『宇宙戦艦ヤマト』は「日本の立場を枢軸国側から連合国側に映した第二次世界大戦の物語」であり、『風の谷のナウシカ』は「環境開発反対とヒューマニズムとを両立させようとして破綻を来した物語」だというのだ。 この本ではその他『ウルトラマン』『ゴジラ』の二大特撮シリーズ、そして安彦良和や押井守といったアニメ界をリードしてきた監督の作品の論理的破綻を次々に暴いた。『ウルトラマン』『ゴジラ』の物語から日本人の意識の中にある小国の「ひがみ」と「甘え」を、『おもひでぽろぽろ』と『風の谷のナウシカ』、そして安彦良和や押井守の作品か