経済政策を巡る論議は、自然科学と違い、実験で決着するわけにはいかないので、ある経済政策を推進する主張と、それに対する懐疑論との応酬が延々と続く、という光景をしばしば目にする。もちろん最近は実験経済学といった手法も出てきてはいるが、それで決着が付く分野は限られており、マクロ経済政策については未だし、というのが実情だろう。この問題に関して、例えば以前のエントリで引用したハイエクは、そもそも経済学と他の科学との比較を考えること自体が無意味、とまで論じている。 ただ、自然科学の応用分野である工学、なかんずく巨大建造物の建築という事業においては、経済学よりは精密な科学、および、風洞実験などの経済学におけるよりは信頼性の高い事前の検証が利用可能であるにせよ、やはり本番をやってみなくてはうまくいくかどうか分からない、という側面があるだろう。その意味では、マクロ経済政策と共通した問題を抱えているようにも思