MMT(Modern Monetary Theory)の問題点、馬場財政、社会主義・統制経済、価格決定モデルがない?
![MMT(Modern Monetary Theory)の問題点は? 安達誠司のマーケットニュース 江崎道朗【チャンネルくらら・5月22日】](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/1251b2813235948d46b7caeee34fa95c2b0f9b43/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fi.ytimg.com%2Fvi%2FLsxRSrnhpNc%2Fhqdefault.jpg)
日本経済を支える柱 いよいよ2018年が始まった。日経平均株価は2万4千円台に向かって力強い動きをみせており、年初の株式市場は順調にスタートした。 日々、ニュースを追いかけながら株価をみていると、年末から今年初めにかけての日本株の上昇は、米国で大型減税法案が成立したことによる米国株高の効果のような印象を強く持つが、昨年終盤以降、日本企業を取り巻く環境が好転し続けていることも株価好調の理由なのではないかと考える。 昨年12月8日に発表された2017年7-9月期の実質GDP成長率の2次速報値は、前期比年率換算で+2.5%と1次速報値の同+1.4%から上方改訂された。この1.1%ポイントの上方改訂幅のうち、民間設備投資の寄与が0.8%ポイントを占めた(寄与率だと73%程度となる)。 GDP統計をみると、2014年4月の消費税率引き上げ以降、国内の最終消費支出は低迷したままである。さらに、足元(2
通勤電車の遅延について 筆者は日本で最も熾烈な通勤ラッシュとなる東急田園都市線の沿線に住んでいる。この線は、周辺住民の間では、よく遅延する電車として昔から有名であった。現に、今でもほぼ毎日10分から15分程度の遅れは当たりで、「今日は遅延しなかったな」とうれしくなるくらいである。 かつて関西で、分刻みの運行スケジュールを遵守するあまり、強迫観念にかられた運転手が焦ってスピードを出しすぎて脱線、通勤客を中心に多くの犠牲者を出すという痛ましい事故が起きたが、遅延が常態化した電車で通勤する筆者は、運行スケジュールにそこまでこだわる路線もあるのかと不思議な気分になったものだ(もっとも事故を起こすよりは多少遅れたほうがまだマシだが)。 そして、つい先日、田園都市線の連日の運転見合わせ事故が全国ネットのニュースでついに取り上げられた。筆者の実家のある九州の友人などからは、「お前が毎日乗っている通勤電車
ノーベル経済学賞 2017 発表の瞬間を 勝間和代、田中秀臣、山形浩生、安達誠司とともに待つ生放送 日本人の受賞が難しいとされるノーベル経済学賞。 そんな中、近年ノーベル経済学賞の候補に推薦されていたと言われる 日本人の名前がある。その名は、"サトシ・ナカモト" "サトシ・ナカモト"は、ビットコインの論文を発表し、その論文では日系人とされているが その正体は、未だに謎が多い。 このビットコインの出現は、 果たして貨幣経済にどれほどのインパクトを与えたのか。 番組では、ノーベル経済学賞の受賞の瞬間を裏実況でお送りすると共に、 専門家たちが、新たな経済の流れとして盛り上がりを見せている仮想通貨の普及が 貨幣経済に与える影響についても徹底討論します。
「シムズ理論」の実証分析 今年初め、浜田宏一内閣官房参与によって、「シムズ理論」なるものが日本に紹介され、一時的にブームになった。そのためか、提唱者であるプリンストン大学のクリストファー・シムズ教授は来日して講演を行うと同時に、官邸にも招かれ、デフレ脱却のための経済政策についての話をされたときいている(ただし、安倍首相の琴線に触れたか否かはよくわからない)。 「シムズ理論」は、正しくは、「物価の財政理論(Fiscal Theory of Price Level)」と呼ばれるものであり、リフレ政策との対比で単純にいえば、「(財政規律を放棄するようなスタンスでの)財政支出拡大を行えばインフレをもたらす」というものである。 現在の日本の状況に照らし合わせれば、「このタイミングで思い切って財政拡大を行えば、(追加の金融政策なしでも)デフレから脱却できる」という風にも取れることから、賛否両論、大きな
出来すぎのGDP速報値 8月14日に発表された2017年4-6月期のGDP速報値では、実質GDPの季節調整済前期比(年率換算)が+4.0%と、大きく上振れた。7月10日のESPフォーキャスト調査でのコンセンサスが同1.9%だったので、エコノミストの予想をはるかに上回る結果であった。 この「4%成長」の内訳を「寄与度」が高い順にみると、1)民間消費が+2%(伸び率は+3.7%)、2)民間設備投資が+1.5%(伸び率は+9.9%)、3)政府部門(公的資本形成(公共投資)と政府消費の合計)が+1.3%(両方の合計値の伸び率は+5%、公的資本形成だけでは+21.9%)、4)住宅投資と民間在庫変動がともに+0.2%(住宅投資の伸び率は+6.0%)であった。 最近の日本経済は輸出主導で回復しているという印象が強かったが、純輸出の寄与度は-1.1%で、輸出の寄与度が-0.3%(伸び率は-1.9%)、輸入
企業の予想インフレ率も大きく改善 日本経済新聞が毎年この時期に発表している「設備投資動向調査」において、2017年度の設備投資が前年度比で13.6%の増加(国内は同13.7%増とのこと)という結果になった。2016年度実績は同3.8%減だったので、様変わりである。 これはあくまでも「計画」なので、必ず実施されるという保証はないが、今年度、多くの企業が設備投資に対して前向きになってきたことを示すポジティブなニュースであることは間違いない。 言うまでもなく、企業の設備投資は、企業経営者が抱く自社の将来の業績予想や将来の経済環境の評価に依存している。その意味で、2017年度の国内設備投資が前年度比13.7%増と急拡大したということは、企業経営者の将来の収益環境に対するマインドが好転した可能性が高い。 これは、これまでの企業行動関連指標の推移にも現れている。筆者は個人的に、日銀短観の製商品の販売価
前回の当コラムでは、金融政策がインフレ率の「レジーム(簡単にいえば、人々がデフレ脱却を予想して経済活動を営んでいるのか否か)」にどのような影響を与えているかについて、「フィリップス曲線(ここでは、経済全体の需給ギャップを示す指標である「GDPギャップ」とインフレ率との関係を示したもの)」を用い、さらにこれに「平滑推移モデル(「レジーム転換」の様子を示す手法)」を当てはめて考えてみた。 元来、インフレ率は、完全失業率などの雇用関連指標が改善する局面では、上昇基調で推移するのが「常態」であった。特に、日本では、このようなインフレ率と完全失業率の関係は極めて安定していた。だが、表面上の数字をみる限り、最近の両者の動きには乖離がみられる(完全失業率は大きく低下している一方で、インフレ率もむしろ低下気味に推移している)。 今回は、前回用いた「平滑推移モデル(LSTARモデル)」を完全失業率の動きに適
インフレ率の上昇はまだか 5月18日に2017年1-3月期のGDP速報値が発表される。最近では、このGDP速報値の結果が株価の材料になることは滅多にないが、エコノミストにとっては一大イベントである。 今回の1-3月期GDPでは、輸出の好調と回復傾向にある消費が寄与し、その成長率は少なくともプラス成長は維持し、年率換算で2%超の「高成長」を予想するエコノミストも少なからず存在するようだ。 このように、GDPの数字をみるかぎり、少なくとも最近の日本経済の状況は「危機的」という感じではないのは確かだ。それどころか、失業率の低下などの雇用環境の改善を考えると、「デフレ脱却に向けて再び歩み始めた」とする強気の論者もいる。 実際、雇用環境が極めて良好であるのは確かだ。 だが、その一方で、インフレ率は一向に上昇する気配がない。 どこからかとはあえて言わないが、ここ数年、毎年この時期には、「夏頃にはインフ
数秒で理解できる知識に価値はない 筆者は、他の論者が何を言っているかとか、最近の経済に関する論争には全く関心がない。だが、いくつかの大手メディアが浜田宏一内閣官房参与(イェール大学名誉教授)の「変節」を大々的に取り上げているのを偶然みかけて大きな違和感を持った。 米国在住の浜田参与はだいたい2~3ヵ月に1回程度のペースで来日されているが、筆者は、ほぼ毎回、何らかの機会をみつけて色々な議論をさせていただいている。とはいっても、筆者が仕事としている現実の経済の話というよりも、むしろ、筆者が必ずしも明るくはない理論的な話をすることの方が多く勉強になる。 浜田参与と同年代に活躍された経済学者の多くは既に引退されているが、浜田参与は、今でも積極的にセミナーに参加されたり、最新の経済学の論文などをフォローされており、その探究心の深さは本当に敬服に値する。本題とはずれるが、最近では、収益率の分布が正規分
金融政策の正常化は時期尚早か マクロ経済学において、著名な経済学者らの間で研究が進められている分野の一つとして「長期停滞論」がある。この「長期停滞論」は、2013年11月にIMFが主催したシンポジウムでローレンス・サマーズ元米財務次官によって提唱されて以来、欧米の経済学者の関心を集めてきた。 だが、サマーズ氏自身も認めているように、「長期停滞論」は、サマーズ氏のオリジナル・アイデアではない。これは、1937年に当時の全米経済学会会長であったアルヴィン・ハンセン氏によって提唱されたものであり、サマーズ氏はそれを現在の世界経済の状況に当てはめたに過ぎない。 ハンセン氏が「長期停滞論」を提唱した1937年は、主要国が、1930年前半に経験した世界大恐慌からようやく脱却しつつあった年である。だが、大恐慌から脱出した後の主要国の経済成長率は恐慌前とは比べ物にならないほど低いままであった。 ハンセン氏
ジャクソンホール会議のオープニングレセプションに到着したスタンレー・フィッシャー氏(左) 〔PHOTO〕gettyimages 「年後半にインフレ率がしかるべき水準まで上昇する」 今週も世界の株式市場は大荒れである。もちろん、中国経済の先行き不安もあろうが、今週の株価調整のきっかけは、8月29日に開催されたカンザスシティ連銀主催のシンポジウム(ジャクソンホール会議)に出席したスタンレー・フィッシャーFRB副議長の、9月利上げの可能性に含みをもたせた発言であった。 フィッシャー副議長は、マクロ経済学の標準的な教科書を執筆するほどのアメリカ経済学会の大物であり、現在のFRBの金融政策にも多大な影響を与えている可能性が高い。 そのフィッシャー副議長が、中国経済の動向を注視する必要があるとしながらも、年後半にはインフレ率が上昇すると信じるに足る理由があり、インフレ率が上昇する可能性が高い状況下では
設備投資は減少局面を脱しつつある 6月8日に発表された2015年1-3月期GDP2次速報値は、ヘッドラインである実質GDP 年率換算の成長率が+3.9%と、1次速報値の+2.4%から大幅な上方修正となった。特に、民間設備投資が、1次速報値の季調済前期比+0.4%から+2.7%へ上方修正されたことが全体の成長率の押し上げにつながった。 多くの論者が、「少子高齢化によってこれから人口が減少する日本国内で企業の設備投資が増えるはずがない」と、当たり前のように設備投資悲観論をぶち上げていたが、その声も聞かれなくなりつつある。さらに、機械受注や工作機械受注などの月次の設備投資関連指標もおおむね回復基調にある。 この設備投資回復の動きが、国内におけるデフレ解消プロセスの再開によるポジティブな動きであれば、大変喜ばしいことである。だが、これは、資本ストックと設備投資の関係(資本ストック調整の動き)をみな
浜田 私はどちらかというと、理論経済学の角度から証券市場を見てきました。ですから現場に詳しいエコノミストの安達さんに、実際の投資の世界について伺いたいと思います。 まずお聞きしたいのは、アベノミクスの第1の矢(金融緩和政策)によって株価が上がり、円安も起こり、有効求人倍率と完全失業率が改善し続けている状況において、なぜ市場関係者のなかには、いまだアベノミクスの効果を否定したがる人がいるのかについてです。 安達 日本では長らく円高が続き、デフレが進行していましたが、それに伴って債券(国債)利回りがどんどん低下してきました。債券利回りが低下するということは、債券の価格が上昇することを意味します。円高とデフレの進行が長期間続く限り、債券を購入すれば将来の価格が上昇するのは確実なので、市場として儲けやすかったということが、まず指摘できます。 債券の取引で生計を立てている債券市場関係者は、円高になれ
フランスの経済学者であるトマ・ピケティ氏が著した『21世紀の資本』は、経済学の専門書(しかも分厚い)としては異例の世界的ベストセラーとなった。日本でも昨年12月中旬に翻訳本が発売されたが、1冊6,000円弱(728ページ)の大著が、1冊1,000~1,500円(200ページ程度)の新書版が主流となっている日本の経済書部門の売上第1位を続けていることは驚異的である。 日本の知識人は、このピケティ氏の『21世紀の資本』を、マルクスが著した古典『資本論』にとって代わる新しい左派の経済学の「聖典」として熱狂的に受け入れているようだ(発売当初の海外メディアがマルクスの『資本論』になぞらえて紹介したことが大きく影響しているとみられる)。特に、マルクス経済学同様、経済学というよりも、思想・哲学分野の識者の熱狂ぶりが目立つ。 反アベノミクスの動きが過熱するはずだったピケティ氏来日 ところで、ピケティ氏は、
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