リニア中央新幹線の建設計画が宙に浮いている。静岡県の川勝平太知事とJR東海の金子慎社長は26日に初のトップ会談を開いたが、環境問題をめぐる対立は打開の糸口が見えないまま。2027年の開業は延期の瀬戸際に追い込まれた。 【図解】リニア中央新幹線のルートと南アルプストンネルの着工状況 最大の争点は3000メートル級の山脈を貫く南アルプストンネルの静岡工区の工事だ。県は掘削工事の過程で大量の湧き水があふれ出て、県民の生活用水や農業などに使われる大井川の流量が低下すると主張している。 JR側はこれまで、湧き水をポンプなどで大井川に戻す案を示したが地元の納得を得られていない。この日の会談でも川勝知事は「大井川の水は(周辺住民)60万人の命の水だ」と力説し、一歩も引かない姿勢を示した。 リニアのルートのうち9割弱はトンネルが占める。県は14年、工事が生態系などに与える影響を監視する専門家会議を設置した