原子力規制委員会は16日、原発事故時に放射性物質の拡散を事前に予測する「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」について、「信頼性はない」との文書をまとめた。政府は11日に開いた原子力関係閣僚会議で全国知事会からの要請に基づき、自治体の裁量でSPEEDIを使用することを認めていたが、異なる見解になった。 規制委の文書によると、放射性物質の放出時期を「事前に予測することは不可能」と強調。SPEEDIの拡散計算の結果に「信頼性はない」と位置付けた上で、「予測に基づいて避難方向を示すことは、かえって避難行動を混乱させる」と弊害が多いことを指摘した。 東京電力福島第1原発事故では、放射性物質の放出データなどが得られず、SPEEDIは活用されなかった。 規制委は新たに作成した原子力防災指針で、原発から半径5キロ圏は即時避難、5~30キロ圏は空間線量が毎時500マイクロシーベルト