デイビィドソンは我々が物事を理解するに当たっては三つの知識が必要だと言う。すなわち自らの心についての知識、他人の心についての知識、客観世界についての知識、である。本書の『主観的、間主観的、客観的』という題名はそれぞれこの三つの知識に対応している。通常の理解では世界を観察する主体である自分と観察される対象である世界という二分法的な見方をするが、彼は三者関係が重要なのだと言う。それは何故か? そこには言語の問題がからんでくる。我々が思考する時に言語を用いる。しかし言語を正しく用いるためには他者との会話の中において正しい使用法と誤った使用法を学ぶしかない。このような意味で私的言語はありえないと主張したのはヴィトゲンシュタインである。つまりは言語を用いて思考するからには他者との関係がその前提となっていると言うのだ。 また客観性の基盤はコミュニケーションにある。科学において客観性、客観性と叫ぶけれど
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