テニスの試合に欠かせないボールキッズ。彼らはどのように選ばれているのか 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】 1993年――バーゼル開催のスイス室内選手権優勝者のミハエル・シュティッヒ(ドイツ)は、表彰式に参列した少年たち一人ひとりに、労うようにメダルを手渡していた。チャンピオンから渡されたメダルをうれしそうに眺める少年たちの一人は後に、テニス史上最高のチャンピオンとまで称されるスターになる。 「僕のキャリアは、ボールボーイとして始まったんだ。トッププレーヤーたちを間近に見て、最終日はピザで打ち上げをして……」 ロジャー・フェデラー(スイス)が“世界”に身を置いた最初の体験は、迅速な動きで選手にボールを供給し、試合を潤滑に流すボールキッズとしてであった。 ボールキッズはテニスの試合に欠かせない存在であり、特にグランドスラムともなれば、彼らの動きは試合を彩るショーのように機能的かつ流麗。とりわ