長期の休暇がごく普通のドイツから見ると、ゴールデンウイークの「黄金」もそれほど輝いていないかもしれない。そんなドイツの休暇事情は日本の経済に力があった頃から、「働きすぎる日本人」に対して、理想のモデルとして紹介されることがあった。 だが、当時の日本では長時間労働を気にするよりも、年功序列や終身雇用といった日本型経営の優位性を評価する声のほうが目立っていた。時代は変わって、昨今は過労死などの「ブラック」な実情が浮き彫りになり、「働き方改革」が急務となっている。 日本人がうらやむドイツの休暇事情は法律や制度など、さまざまな角度から説明されてきたが、単にシステムが優れているという理解では十分ではないだろう。ドイツの長期休暇は多岐にわたる要素との連関のなかで成り立っているためだ。今回は休暇の権利が成立してきた歴史に着目しつつ、仕事と休暇を並列に考える発想がどのように出てきたかに焦点を当てて考えてみ