タグ

ブックマーク / agora-web.jp (8)

  • 東京電力をどうするか

    今、東京電力を支持している人は世の中に一人もいないようだ。現場の英雄達を除けば、東京電力とは世界最大の犯罪人という扱いだ。 このような雰囲気の中、福島原発事故における危機対応から長期の事後処理対応に変わる局面において、東京電力を潰せという議論が起こる可能性が高い。いや、既に起こっている。 私は、この議論に反対だ。理由は2つ。 東京電力に今回の原発事故の賠償責任をすべて負わせることは、法律違反である。原子力損害賠償法は、異常に巨大な天災地変においては、免責であることを明確に定めており、その場合は全額国が補償することになっている。東日大震災が異常に巨大な天災地変に当たることは疑いがない。それにもかかわらず、感情論ではなく有識者が冷静に東京電力に賠償責任があると論じるのは、今回の原発事故は天災ではなく人災による二次災害であるとみなしているからである。 この点は私も同意する。事故発生のニュースを

    東京電力をどうするか
  • 地方銀行の過大な国債リスク

    井上さんの記事について、少し数字を補足しておきます。日銀の昨年9月の金融システムレポート(p.33)によれば、 大手行・地域銀行ともに、2009 年度以降、金利リスクが一段と蓄積される方向にある(図表 3-2-1)。全年限の金利が同時に 1%pt 上昇する場合を想定した金利リスク量(100bpv)は、2009 年度中に、大手行では 2,500 億円弱、地域銀行では 5,000 億円程度増加した。 となっており、図のようにグロスの金利リスクは大手行で4兆円、地方銀行で5兆円を超えています(ネットでは調達金利と相殺される)。邦銀の昨年度の業務純益は2兆9200億円なので、これはその3倍です。特に地銀では、自己資(Tier1)に対する金利リスクの比率が30%を超えており、長期金利が1%ポイント上がっただけで自己資が大きく浸されます。 特に問題なのは国債保有です。大手行は保有国債を短期化し、

    地方銀行の過大な国債リスク
  • 京大カンニング事件にみるこの国の劣化 ‐ 中村伊知哉

    慶應義塾大学教授 小学校低学年のころ、近くにあった京都大学というところはいつも争乱でした。ヘルメットにゲバ棒のお兄さんたちと機動隊とが衝突していて、火炎瓶で火だるまになる人を見物しに行きました。酔っぱらったヤジ馬が「学生がんばれ~」と怒鳴っていました。それから十年ぐらい経ち、自分がその門をくぐりました。 学生運動が終焉していたとはいえ、時計台には「竹処分粉砕」との落書きが往時をとどめ、少ないながらもヘルメットとマスクはうろついていました。大学当局も何かにつけ国家権力とは距離のあるたたずまいでした。 しかも私は授業にも出ず、西部講堂という第一勧銀7千万円強奪犯が逃げ込んでも大学当局も警察もわからなかったという実に治外法権の場所で過ごしていたため、当局や権力との距離感がズレている面はありましょう。その自分が結局、政府の役人になり、その後、大学に身を置くようになったというのは、バチ当たりなこと

    京大カンニング事件にみるこの国の劣化 ‐ 中村伊知哉
  • 受験問題のほうが、現代にそぐわない - 小林秀行 

    京大の受験問題が質問掲示板にアップされ、解答を求めていたことが話題になっている。調査すると、どうやら他の大学入試でも同様のことが起きていたようだ。「大学入試の問題が、試験時間中にインターネットの質問掲示板に投稿されていた。携帯電話から流出したとみられ、判明しただけでも京都大、早稲田大、立教大、同志社大の難関・有名4大学に及んでいる」(毎日新聞2011/2/27より抜粋) これに対して受験生や教育者達は、「学生の勉強の努力を無駄にする行為」と憤慨。大学側は、今回の事件が業務妨害に当たるとして、京都府警に被害届を提出する方向。ちまたでは、「誰が犯人か?」と推理情報が飛び交っている始末。このように多くの人を騒がしている事件であるが、私としては「もう今の筆記試験のテストには限界がきているのかな」と考えてしまう。最近のネット検索の事情から、少し考えてみよう。 「ググれカス」という有名な言葉が代表する

    受験問題のほうが、現代にそぐわない - 小林秀行 
  • パッケージメデイアの終焉

    昨年8月の、HMV渋谷店の閉鎖は衝撃だった。CDの売り上げが右肩下がりである事は承知していたが、若者が最早CDショップに行かない、若者で賑わう渋谷の街が最早HMV渋谷店を必要としないというのは、今更ながらとはいえ考えさせられた。 それ以降、映像再生のDVDはこの先どうなるんだろうという、漠然とした疑問を抱えていたのだが、今回偶然、朝山貴生氏の記事を発見し、パッケージメデイアがネットに飲み込まれていくパラダイムシフトを確信した。 それにしても、3,000以上の店舗を北米に有した、レンタルチェーンのBlockbusterが、Netflixオンラインストリーミングサービスの台頭に敗北し、あっという間に倒産したのは、圧巻である。 同じことが日でも起こるのだろうか?もし起こるとすれば、日のメデイア業界に、そして通信キャリアーに一体どの様な変化を及ぼすのだろうか? 先ず、同じ変化は必ず起こると確信

    パッケージメデイアの終焉
  • クラウドと著作権についての補足

    昨夜の記事には今までに15万ページビューも集まり、RTも5000を超えました。これはアゴラ始まって以来の記録です。ただ実際にこの判例がクラウド全般に適用されるかどうかについては微妙な問題もあるので、専門家からいただいたコメントを踏まえて、前の記事でふれなかった論点をまとめておきます。 まねきTV判決は「テレビの再送信」という特殊な目的のサービスで、一般的なクラウドには適用できない:これは誤りです。最高裁判決は目的も媒体も特定せず「自動公衆送信」一般を対象とする抽象的な論理構成になっており、テレビ番組だけではなく、音楽や書籍なども対象になります。 まねきTVは「機材の設定や配線」を行なったことが決定的で、ただ送受信させるだけでは「主体」とならない:これも違います。MYUTAは音楽のストレージで、配線も設定もしていない。PCからサーバに送って携帯にダウンロードする点でMobileMeと同じです

    クラウドと著作権についての補足
  • 「まねきTV事件」最高裁判決でクラウドも国内勢全滅の検索エンジンの二の舞か?

    まねきTV事件およびロクラクII事件の最高裁判決(以下、「まねきTV事件判決」)直後から1ヶ月近く米国に出張した。ネットとテレビの融合状況を目の当たりにして、最高裁での逆転勝訴は日テレビ局にとっても不幸だったのではという観を強くした。その解説をする前に、判決を読んですぐに抱いた懸念を紹介する。権利者よりの日の著作権法は国産検索エンジンほぼ全滅の結果をもたらした。同じ現象がクラウド・コンピューティング(以下、「クラウド」)でも再現するのではないかとの懸念である。 著作権法は著作物の利用と保護のバランスを図ることを目的とした法律である。著作物の利用には著作権者の許諾を要求して保護する一方、許諾がなくても使用できる権利制限規定を設けて利用に配意している。わが国の著作権法はこの権利制限規定を個別に列挙しているが、米国は使用する目的がフェア(公正)であれば、許諾なしの使用を認める包括的権利制限

    「まねきTV事件」最高裁判決でクラウドも国内勢全滅の検索エンジンの二の舞か?
  • MobileMeもDropboxも違法である

    きょうの城所さんの記事には多くのアクセスが集まりましたが、ちょっとむずかしいので、法律の素人でもわかるように素人の私が解説します。 最高裁判決のポイントは簡単にいうと、インターネットを使って他人の著作物を送信した場合は、それが自分だけにあてた通信であっても自動公衆送信となり、それを行なったのがユーザーであっても、設備を提供した業者が自動公衆送信の主体になるということです。この判決の射程は非常に大きく、およそインターネットのサーバやルータはすべて自動公衆送信装置となり、公衆回線で他人の著作物を送信することはすべて違法になります。 抽象的にいうとわかりにくいので、実例で説明しましょう。あなたが自分のCDをリッピングしてMP3ファイルにし、MobileMeのサーバに送ってiPhoneでダウンロードして使うと違法になります。アップルは自動公衆送信の「主体」としてJASRACに訴えられる可能性があり

    MobileMeもDropboxも違法である
  • 1