家事諸々が片づいてスッキリしたところで、時刻はちょうど午前8時。ラジオのスイッチを入れて、ベランダの向こうの曇り空をぼんやりと眺める。この連休は毎日晴天になるとばかり思っていた。今日は布団を干そうと、それだけをたのしみにしていた、しかしいざ当日になってみるとこんなに曇っているではないか、とてもではないけれど布団を干す気にはなれない、無念である……というようなことを思っているうちに、「音楽の泉」がはじまった。本日の曲目はブラームスのクラリネット五重奏曲。曇り空を眺めながら耳をすませてみると、ブラームスの憂いたっぷりの旋律がますます胸にしみいる感じ、ブラームスの旋律と合わさってみると曇り空も格別なものがあるなあと、少しだけ機嫌がよくなる。 布団を干せなかった心の隙間を埋めようと、散歩に繰り出すことにする。数十分テクテクとひたすら歩き続けて、思うところあって戸山が原から坂道をくだるというコースを